東京都区部の東側エリアというと、豊洲や東雲などの湾岸地区のタワーマンションへの注目度が高い傾向があります。これは、2000年以降に急激に新規供給が増え、築年の新しい中古マンションのストックが豊富だからだといえるでしょう。
湾岸地区のタワー物件についてはこれまでに何度か取り上げてきましたので、今回は東側エリアの中でも、東京スカイツリーで注目を集めている少し内陸に入ったスポットをクローズアップしてみようと思います。都区部の西側エリアに比べて価格が手頃な物件が多いのが特徴です。
東京スカイツリーのお膝元はこれから期待できるエリア
この7月に発表された路線価では、全国的に下落傾向が続くなかで、数少ない"上昇エリア"もありました。そのひとつが、東京スカイツリーに近い、墨田区京島地区。「京成曳舟」駅の周辺です。駅周辺の再開発に"スカイツリー効果"も重なってか、前年比で2.1%上昇しています。
周辺の賃貸住宅の家賃相場も少しアップし、取引も活発になっているようです。新築マンションの供給も進み、今後は注目度が高まっていくかもしれません。
もっとも、このエリアは中古マンションについてはまだまだストックが少ないために、中古マーケットとしては成熟していません。東京スカイツリーのお膝元である京成線・都営浅草線・東京メトロ半蔵門線「押上」駅や、東武スカイツリーライン(旧東武伊勢崎線)「とうきょうスカイツリー(旧業平橋)」駅の周辺も、中古マンションの物件情報は少ない状態です。
これに対して、少し南の方面に目を向けると、中古マンションが豊富なエリアが広がります。東京や大手町など都心のターミナル駅まで10分~15分程度という高い利便性がありながら、ファミリータイプが2,000万~3,000万円台で買える手頃な物件が多いのが特徴です。
具体的なエリアをいくつかピックアップして紹介しましょう。
総武線と東西線に挟まれた都心寄りエリアはグレードの高い中古マンションも豊富
押上駅からまっすぐ南に伸びる道路(四ツ目通り)を下がると、JR総武線「錦糸町」駅にぶつかります。錦糸町周辺は、2003年の東京メトロ半蔵門線の乗り入れと前後して、周辺の再開発が進みました。最近では、北口駅前にある錦糸公園の再整備と併せて、大型ショッピングモールやマンションが建ちはじめています。
中古マンションのストックも豊富です。ハイグレードなタワーマンションから中小規模の2,000万円台のマンションまで、幅広い価格帯の物件を探せます。
さらに、錦糸町から南西に向かう都心寄りのエリアは、数多くの寺社の緑に加え、大名屋敷跡地の庭園や都市公園も点在し、江戸時代からの御屋敷町の面影を残しています。以前は、JR総武線や東京メトロ東西線など東西に伸びる鉄道路線しかありませんでしたが、南北に伸びる東京メトロ半蔵門線や都営大江戸線が開通したことで縦・横の交通網が整備された結果、利便性も高まりました。
これらは沿線でいうと都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」駅、東京メトロ東西線「門前仲町」駅の周辺となります。地名では「深川」あたりです。新築マンションの供給もコンスタントにあり、グレードの高い中古マンションも出ています。東京駅から5km圏内という立地のメリットがもっと見直されてもよいのではないでしょうか。