前ページでは、主に自治体の助成や行政サービスについて紹介しました。実は、こうした制度が整備された自治体と、住宅地として人気がある街は必ずしも一致しません。というのも、自治体が子育て支援制度を充実させるのは、基本的な住民サービスの向上という面もありますが、世帯数を増やして地域を活性化するのが主たる目的だからです。
誰もが住みたいと思われている街には、自然と人々は集まりますから、人を呼び込むための特別なサービスは必要ないともいえます。では、どういう街に人は集まるのでしょうか。
子育てファミリーの視点でいえば、やはり教育環境が整っていることです。通わせたい学校の学区内にある物件に限定して探しているケースも珍しくありません。複数校の中から選べる公立学校選択制を採用する自治体も徐々に増えてきましたが、それでも一定の範囲に限られます。
次に、子どもにとって日常的な暮らしを送る上で安全なこと、つまり、治安や道路事情が良いことです。たとえば、利便性が高く繁華街に近い場所よりも、少し駅から離れても静かな住環境であることや、学校と家を結ぶ通学路に交通量の多い幹線道路がないことなどを条件にする人は結構います。公園や児童館が近いことも優先順位が高い条件です。
こうした基本的な住み心地を重視して探し、いくつかのエリアで迷ったときに、行政サービスや助成制度を比較検討するという順番で考えるのがいいのではないでしょうか。
コミュニティの活発なマンションかどうか?
最後に、個々の物件レベルで子育てにかかわる要素についても触れておきましょう。
一時期、中規模以上のマンションでは「キッズ・ルーム」が多く設置されましたが、実際にはあまり活用されていないという声も聞きます。単にスペースを設けるなど、ハード面を整備したただけでは活用されないのかもしれません。
これに対して、最近分譲されている大規模マンションでは、ソフト面のサービスを重視する傾向があります。夏祭りやクリスマスパーティー、木工教室のような子ども向けイベントなど、分譲後もデベロッパーが企画運営に関わるのです。それによって良好なコミュニティ形成を後押しする効果が期待できます。結果として、子育てファミリー同士の交流も促されるので、気軽に相談したり情報交換したりできる関係ができやすくなるといえるでしょう。
新築マンションの場合は、こうした企画や仕掛けがうまく活用されていくかどうかは、物件の選択段階では未知数です。中古マンションであれば、同世代の子どもがいるファミリーがい多いかどうか、コミュニティ活動は良好かどうかを事前にチェックして選ぶことができます。ぜひ、こうしたソフト面にも目を向けるようにしてください。
【関連サイト】
ノムコム「マンションデータPlus」
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