マイホーム購入の2大テーマの一つ「新築vs中古」の比較についても、以前の常識とはかなり変わっています。比較の視点はいくつかありますが、新築と中古の最大の違いは設備仕様の新しさでしょう。「新築は常に最新の設備や内装が取り入れられるのに対して、中古は年数が古くなるほど設備や内装も見劣りがするようになる」といった固定観念がありました。
しかし、現在では中古のリフォームやリノベーションが普及しているため、少なくとも室内(専有部分)に関しては、中古と新築の差があまり感じられない物件も多く見られるようになりました。むしろ、リノベーション物件の場合は、新築より最新の設備が入っているケースもあります。
また、共用施設についても、現在の新築マンションよりも、2000年代前半に分譲された中古マンションのほうが充実している物件が豊富です。太陽光発電などのエコ仕様については新築のほうが一歩進んでいます。これらの点を重視する場合には、新築に優位性があるといえるでしょう。
ただし、こうした最新の装置や設備を採用しているのは新築でも一部のマンションに限られます。新耐震基準以降のマンションであれば、基本的な構造もほとんど進化していません。
また、立地にこだわるなら、中古のほうが圧倒的に有利です。過去数十年にわたって供給されてきた豊富なストックがありますから、希望エリアで見つかる可能性は高いといえます。これに対して新築の場合は、たまたま希望エリアで分譲されるタイミングに合わなければ買えません。また、都心部ではマンション用地の確保が難しくなっているため、都心部の新築マンションが減っています。この傾向はしばらく変わらないでしょう。
本当のところ、新築と中古はどこが違う?
そもそも、新築と中古の違いは紙一重です。一般的には「人が住んだことがない」のが新築、「人が住んだことがある」のが中古といわれます。つまり、一度でも誰かが住んでしまえば中古になるわけです。新築である時期は一瞬です。
たとえ住んだことがなくても、建築後1年たつと、広告では「新築」と表示できません。そのため、新築でも中古でもない「新古物件」などと呼ばれ、新築より少し値引きされて売られていることもあります。
こうして考えると、未入居物件や築年の新しい中古を選べば、新築でないことのデメリットはほとんどないのではないでしょうか。あまり固定観念にとらわれずに、新築も中古も柔軟に選択するのがいいかもしれませんね。