「耐震」に似ている言葉に「免震」があります。「免震」というのは、建物と基礎との間に積層ゴムなどの免震装置を設けて、建物に伝わる揺れそのものを弱くすること。一般には、通常の耐震構造の建物と比べて、揺れが1/3~1/5に軽減されるといわれています。
免震構造の建物は、地震による揺れが弱くなるために、構造や設備の損傷が抑えられるだけでなく、室内の家具転倒や照明器具の落下なども防ぐことができます。1995年の阪神・淡路大震災のときに免震構造の効果が証明され、それ以降、マンションにも採用されるケースが増えてきました。
免震構造は、当初は14~15階建てまでの高層マンションが中心でしたが、2000年代半ば以降は超高層マンションにも採り入れられるようになっています。今回の東日本大震災でも、免震構造のタワーマンションの居住者から「それほど大きな揺れを感じなかった」という声が聞かれています。
タワーマンションに増えている「制振」
地震の揺れを軽減する技術としては、「免震」の他に「制振」という技術もあります。これは、地震のエネルギーを吸収するダンパーなどを建物内の骨組みの部分に設けて、振動や衝撃を和らげる仕組み。柱と柱の間のブレース(筋かい)とオイルダンパーを組み合わせるタイプや、間柱の中央に鋼板を入れるタイプなどがあります。
以前は、オフィスや商業ビルなどに採用されるケースが多かったのですが、最近ではマンションにも制振装置を採り入れる動きが出てきました。特に、超高層タワーマンションでは増えています。なかには、免震と制振を組み合わせたシステムを採用しているケースもあるようです。
免震や制振に対応した物件は、中古マンションのなかではまだまだ少数派ですが、今後は徐々に選択肢の一つとして増えてくるかもしれません。