2011年分における相続税・贈与税の評価基準となる「路線価」が7月1日国税庁より公表されました。全国約36万地点ある標準宅地の前年比の変動率の平均は△3.1%下落し、3年連続の下落となりました。ただ、前年の下落率が△4.4%だったので、1.3ポイントの下落率の縮小が見られました。路線価は3月に公表された公示地価を基準として評価されるため、想定内の変化といえるでしょう。
全国ベースでは、昨年▲4.4%⇒今年▲3.1%と下落幅は縮小しています。都道府県別で平均が上昇した都道府県はゼロでした。今年から、国税庁では、圏域毎の平均変動率を公表しなくなったため、都道府県毎の変動率の平均を下記に掲載します。
今年の路線価は、すべての都道府県で下落しました。主な下落率の推移をみると、東京都で昨年△7.0%⇒今年△2.0%、神奈川県で昨年△3.6%⇒今年△1.4%と大きく縮小しています。大阪府では昨年△6.1%⇒△3.4%となっており、首都圏の方が関西圏より下落率が小さくなっていて、さらに愛知県では全国で最も下落率が小さくなっています。下落幅は、全国の31都道府県で縮小しています。
都道府県庁所在地都市の最高路線価地点では、唯一「福岡・天神」が+1.1%の上昇を示し、「名古屋・名駅」と「津・羽所町」が横ばいだったものの、その他の地点ではすべて下落しています。全国最高路線価である東京銀座は、△5.2%の下落率となっています。また下落率ワースト3位は、秋田、松江、仙台の順となっています。ただし、今回の路線価調査は3月の震災の影響は加味されていません。
東京都では、税務署管内毎の最高路線価48地点のうち、横ばい地点が4地点あり、その他の44地点では下落となりました。東京都内で最も下落率の大きい地点は、中央区八重洲1丁目で前年比△10.1%の下落でしたが、昨年は都心3区の6地点はすべて△15%以上の下落でしたので、かなり縮小しています。また東京都での横ばい地点は、スカイツリー効果の出た曳舟駅・再開発の北千住駅を含め、西新井駅・赤羽駅の城東城北4地点となっています。
神奈川県では、県内18税務署の最高路線価は、首都圏で唯一の上昇地点となった「たまプラーザ駅前」の+4.3%をはじめ、横ばい地点が9地点あり、横ばい傾向が強くなっています。
埼玉県の県内15税務署最高路線価では横ばいが1地点(志木駅前)で、その他の地点では下落となりました。千葉県の県内14税務署最高路線価では横ばいが4地点(習志野・船橋・木更津・成田)で、最大下落率の千葉駅前△5.9%をはじめその他地点は下落となりました。
大阪圏では、6府県の83税務署の最高路線価地点では上昇地点はなく、横ばいが10地点でその他地点は下落しました。二ケタ下落となった地点は4地点あり、中央区北浜3丁目御堂筋△17.8%をはじめとしてすべて大阪市内となっています。
国税庁では、標準宅地の圏域における平均路線価およびその変動率を一般に公表することを一昨年から停止しています。また平均変動率の計算方法を変更していますので、従来の変動率履歴からの比較はできなくなっています。