2010年分における相続税・贈与税の評価基準となる「路線価」が7月1日国税庁より公表されました。全国約38万地点ある標準宅地の平均評価基準額は1m2当たり12万6千円となり、前年の13万7千円に比べ▲8.0%下回り、昨年に引き続き下落となりました。昨年4年振りに下落した路線価はさらに下落傾向を強めた形になりました。
全国ベースでは、前々年+10.0%⇒昨年▲5.5%⇒今年▲8.0%と急落が続いています。圏域別では前々年大きく上昇した圏域ほど大きく下落している傾向がみられますが、大阪圏では、前々年の上昇幅が比較的小さく、その分昨年の下落幅も小さく留まっていましたが、今年は下落幅が大きく拡大しました。地方圏では、ここ数年上昇に転ずることなく、下落幅がまた拡大しています。
路線価は1/1時点の地価公示の8割を目安として国税庁が算出していますが、地価公示に比較して路線価の変動率が総じて大きな数字になっています。地価公示の変動率は地点毎の変動率を平均して算出していますが、路線価の平均変動率は評価基準額の平均額の変動率を算出しているため、高地価地点の変動率の影響を受けやすいといえます。
路線価は、公示価格をベースに算出されていますので、3月発表の公示地価と連動しているものではあるのですが、公示価格の東京圏変動率が昨年▲4.4%⇒今年▲4.9% に対し、路線価の平均変動率は今年の下落幅が大きく拡大していることが特徴です。
都道府県庁所在地都市の最高路線価地点では、山口と津が横ばいだった以外は、すべて下落しています。下落率ワースト3位は、東京、名古屋、大阪の順となっています。
東京都では、都内48ある税務署管内毎の最高路線価48地点すべての地点で、前年に比べて下落という状況でした。東京都内で最も下落率の大きい地点は、25年連続して全国最高路線価地点となった銀座5丁目中央通りで、前年比▲25.6%の大幅な下落(昨年▲2.0%)となりました。下落幅が▲10%を超えた地点は13/48地点あり、千代田・中央・港区など中心部にある地点が大きく下落しています。
神奈川県では、県内18税務署の最高路線価は、戸塚駅東口地点が昨年に引き続き横ばいだった以外は、17地点で下落となりました。下落幅が▲10%を超えた地点は、新横浜駅前で▲15.5%(昨年▲10.7%)のみとなっています。
埼玉県では、県内15税務署の最高路線価は、昨年に引き続き全地点で下落となりました。下落幅が▲10%を超えた地点は所沢プロペ通りの▲14.7%(昨年▲4.7%)のみでした。県下最高路線価地点の大宮駅西口駅前ロータリーは▲8.0%(昨年▲7.1%)でした。
千葉県では、県内14税務署の最高路線価のうち、上昇地点はなく、横ばいが1地点(成田一本松通り)で、その他の地点では下落となりました。下落幅が▲10%を超えた地点は2/14地点あり市川市本八幡駅前で▲12.5%(昨年▲8.0%)、千葉市千葉駅前で▲11.8%(昨年▲12.1%)となっています。
大阪圏では、6府県の83税務署の最高路線価地点では上昇地点はなく、昨年17地点で横ばい⇒今年横ばい1地点のみ、という結果でした。下落率が▲20%を超えた地点が大阪市と吹田市で計4地点あり(昨年は▲10%以上の下落地点はなし)、大阪圏での下落傾向が拡大していることが読み取れます。