2009.9.28:Vol.212

平成21年基準地価の発表
国土交通省が9月18日発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)は、この一年間の厳しい経済情勢を反映して、全用途で前回より下落率が拡大しました。全国2万地点超の調査地点の中で上昇したのは3地点のみとなり、特に景気悪化の影響が強い商業地が△5.9%と大きく下落しました。また、前回調査では地方圏がマイナスで都市圏はプラスでしたが、今回は全圏域でマイナスとなり、都市圏での下落が大きいことが特徴となっています。
- 住宅地の変動率は、全国平均で前回△1.2%⇒今回△4.0%となり、下落幅が拡大しました。
- 圏域別に見ると、景気悪化に伴い、三大都市圏住宅地平均では前回の+1.4%から△5.6%と、4年ぶりに下落に転じました。東京圏△6.5%、大阪圏△4.5%、名古屋圏△4.2%となり、前回△2.1%⇒今回△3.4%と引続き下落した地方圏の下落率を上回る落ち込みとなりました。
- 国土交通省では、「各圏域の都心部では、景気悪化、投資・融資環境の変化、オフィス空室率の上昇等を背景に需給の調整が行われ、ブランド力のある地域や高級住宅地で上昇から下落に転じる地点が増加した」としています。
- 東京圏・大阪圏の住宅地の年間変動率を、半年毎に追ってみますと「表1」のようになります。
- 東京圏住宅地では、平均で△6.5%下落し、前回の+1.6%から反転しました。特に東京都区部では、下落率は△10%を上回り、都心部や南西部では△12%前後の下落となっています。東京圏で最も下落率の大きかった順に、渋谷区△14.2%、世田谷区△13.8%、中央区△12.5%など、15区でニケタ下落となり、2年前に上昇率の高かったエリアでの下落率が大きくなっている傾向があらわれています。下落率の最も大きかった地点は、渋谷区神宮前で△17.5%でした。また、商業地では港区で△17.1%、千代田区・中央区で△15%超と大きく下落しています。ただ、国土交通省では、地価公示との共通地点の半年推移でみると、下落基調が後半鈍化している地点も多くみられるとしています。
- 東京圏住宅地の郊外部でも、10万人以上の市区でみると、都下では国分寺と調布市が共に△11.4%、横浜市では青葉区△11.6%、都筑区△11.0%、千葉では浦安市が△10.5%とそれぞれ二ケタの下落となったエリアがありました。
- 大阪圏住宅地では、平均で前回+1.0%⇒今回△4.5%と下落に転じました。10万人以上の市区でみると二ケタ下落のエリアはなく、門真市△7.9%寝屋川市△7.8%、大阪市中央区△7.7%、阪神間では神戸市灘区△7.2%東灘区△7.0%などとなっています。商業地では、大阪市中央区△16.1%をはじめ二ケタ下落のエリアも多く見られました。
- ただ、これらの大都市圏では、足元の地価の下落傾向が緩やかになっていること等から、今後鎮静化へ向かうのではという見方も出ています。