2009年分における相続税・贈与税の評価基準となる「路線価」が7月1日国税庁より公表されました。
全国約37万地点ある標準宅地の平均評価基準額は1m2当たり13万7千円となり、前年の14万5千円に比べ▲5.5%下回り、4年ぶりに下落となりました。
特に、東京圏、大阪圏、名古屋圏、地方圏全ての圏域での下落、全ての都道府県での下落という全面的な様相を呈していることが特徴となりました。
全国ベースでは、前年+10.0%⇒今年▲5.5%と一転しての急落となりました。圏域別では3大都市圏では、昨年大きく上昇した圏域ほど今年大きく下落しているとう傾向がみられます(東京圏:前年+14.7%⇒今年▲6.5%、名古屋圏:前年+10.9%⇒今年▲6.3%)。
都道府県別では、昨年14都道府県で上昇がみられましたが、今年は全て下落となっています。下落率が最も大きかったのは福岡県(▲8.6%)、次いで東京都(▲7.4%)となっています。逆に下落率の小さい県は静岡県(▲1.4%)、次いで長崎県(▲1.7%)となっています。ここ数年地価が大きく上昇してきた大都市圏での下げが目立っているといえます。また、地方圏は一昨年・昨年の横ばいからふたたび下落へと転じたことになります。
路線価は1/1時点の地価公示の8割を目安として国税庁が算出していますが、地価公示に比較して路線価の変動率が総じて大きな数字になっています。地価公示の変動率は地点毎の変動率を平均して算出していますが、路線価の変動率は評価基準額の平均額の変動率を算出しているため、高地価地点の変動率の影響を受けやすいといえます。
東京都(東京圏)は5年ぶりで路線価が下落しました。税務署管内毎の最高路線価48地点のうち、前年に比べて上昇した地点はゼロで、1地点のみ横ばい、47地点で下落という状況でした。唯一横ばいだったのは、足立区の西新井駅西口駅前通りでした。また、最も下落率の大きかったのは東池袋1丁目グリーン大通で昨年+33%の上昇から一転して前年比▲15.9%の下落となっています。全国最高路線価地点は24年連続で銀座5丁目鳩居堂前で、前年比▲2.0%の下落となりました。
神奈川県内(東京圏)の路線価平均は前年比で▲3.8%の下落、県内全18税務署の最高路線価は5年ぶりに上昇地点がなくなりました。2ケタの下落は横浜駅西口(▲10.4%)と新横浜駅前通(▲10.7%)、次いで溝口駅前広場通(▲7.9%)など、東京に近い地点で前年上昇率が高かった地点の下げ幅が大きくなっています。神奈川県内で唯一横ばいを示したのが、戸塚駅東口(±0%)でした。
埼玉県内(東京圏)の路線価平均は前年比▲3.9%の下落、県内全15税務署の最高路線価も、6年ぶりに全地点で下落となりました。昨年下落地点がなかったことを考えると完全に逆転した格好です。大宮西口ロータリー(▲7.1%)が最も下落率が大きく、浦和駅西口(▲5.5%)越谷駅東口(▲5.5%)と続いています。
千葉県内(東京圏)の路線価平均は前年比▲3.7%の下落、県内全14税務署の最高路線価も、上昇地点ゼロとなり、横ばいが1地点でした(館山駅前通)。最大下落率は昨年+20%の上昇を示した千葉駅側通で▲12.1%。東京近郊の市川(▲8.0%)船橋(▲7.1%)も下落幅が大きくなっています。
大阪圏では、大阪府が最大の下落率で▲4.0%、以下京都府▲3.5%、兵庫県▲3.0%と続きます。6府県の83税務署の最高路線価は昨年55地点で上昇⇒今年は上昇ゼロという結果です。郊外の住宅地は下げが緩やかで、彦根駅前や岸和田駅前、高槻市駅前などで横ばいでした。
※本稿での地域毎の変動率は都市圏域に含まれる標準地を対象としています。
都府県全体平均の数字とは異なります。