ノムコムトップ > 家ココチ トップ > 家ココチ[Vol.8] 母のココチ 「ママも赤ちゃんもうれしい小さな工夫」 | ||||||||
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赤ちゃんにもママにもやさしい住まいの工夫で、子どもの成長後も役に立つアイデアがあるとしたら、ぜひ取り入れたいもの。1つのフロアを全面赤ちゃん向けに改装し、ファミリーに大人気のオリエンタルホテル東京ベイに、親子がゆったりとくつろげる快適空間をめざして施した小さなアイデアの数々を伺いに行きました。 | ||||||||
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東京ディズニーリゾート(R)のパートナーホテルとして、ファミリー層を中心に人気を誇るオリエンタルホテル 東京ベイ。全506室のなかで、とりわけリピーター率が高く、内外から注目されている話題のフロアがあります。その名も、「ベビーズ スイート」。11階フロアの客室をすべて、日本初の乳幼児専用の客室に大改装。子育て中のママたちへのヒアリングやリサーチを徹底的に行うなど、1年間かけて準備したのち、05年に開設。ママたちの声から生まれた快適空間のためのアイデアは、なんと約50にも上るとか。 なかでも、コルク素材のクッション性の高い床は、赤ちゃんが転んでも、はいはいしても安心。耐水性も高いので、ジュースをこぼしてもサッとひと拭きすればOKです。経営企画部 マーケティング課 ウェブ担当 マネージャーの姫野英子さんによると、「日本人の場合、スリッパの生活は歩きづらく、つい裸足になってしまうという方が少なくないようです」
コルクという自然素材の風合いは、見た目にもナチュラルで、小さな子どもがいる・いないにかかわらず魅力的。個人住宅でも応用範囲の広い素材といえます。 また、ソファやベッドは高さの低いものを採用。特に木製のローテーブルは全体的に丸いデザインで、足元がおぼつかない子どもでも、角に頭をぶつける心配がありません。様々な危険を回避して注意を払わなければならない外と違って、家の中ではママもゆったりくつろぎたいもの。そのためにもベビーズ スイートのように、子ども目線で、家具は低め、できれば床もコルクのようにクッション性の高い素材が理想的ですね。 |
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キャビネットなど、この部屋の家具の扉はすべてタッチボタン式です。理由は、子どものいたずらや手を挟む危険を防止するため。また、デジタルカメラやお財布など、子どもの手が届かない場所に置いておきたいものは、高い位置に設置された棚を使うことができます。 また、「うちの子は、電話をいたずらするので困ります……」というママのために、電話は少し高めの位置に、壁掛け方式で取り付けられています。 洗面所の棚の下には、使用済みの紙オムツを捨てる専用ポットが。棚の上は、棚板でタオルや洗濯カゴ置き場に仕切られています。小さな子どもがいると、どうしてもタオルの出番が多くなります。ちなみにベビーズ スイートには、通常の客室よりも多めにタオルを置いているとか。たくさんのタオルや紙オムツポットの専用置き場を作らずとも、こんなふうに洗面所にオープンになった棚がひとつあると、いろいろな用途に使えて便利そうです。
そして、ベビーズ スイートのもうひとつの大きな魅力は、お風呂。パパやママと子どもが向かい合って入れるよう、三角形をした広めの浴槽を使用しています。浴槽の中に段差イスもあるので、子どもはもちろん、介護が必要なお年寄りにも安心です。 また、明るいイエローは子どもに大人気で、入浴タイムをさらに楽しく盛り上げてくれるようです。 | ||||||||
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![]() 姫野さんは、このフロアの開発で特に配慮したのは「ママの気持ち」と語ります。
明るく清潔的だが、決してキャラクターやにぎやかなデザインは使わず、あくまでインテリアはシンプルでシック。大人が落ち着いて過ごせるトーンを基調にしています。 個人の住宅でも、安全や清潔さ、動線など、小さな子どもへの配慮は大切ですが、同様にデザインの配慮も大切。子どもの成長後も、長く使えて飽きのこないデザインがポイントです。 つきつめて考えれば、子どもにやさしい住まいはお年寄りを含め、すべての人にやさしい住まいであるということ。長く使うためにも、甘くなりすぎず、落ち着いたトーンを心がけましょう。 ホテルのインテリアは、機能性とデザイン性の2つが同等に求められます。その両方が融合された空間はまさに、住まいの教科書のようなもの。限られたスペースで、どう安全・清潔・使い勝手・デザインなどの要素を満たしているか。ベビーズ スイートには、まだまだ住まいのヒントがたくさん潜んでいそうです。 取材・文 大平一枝/暮らしの柄 |