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高い治安水準を誇ってきた日本でも、住まいへの侵入犯罪が増え続け、それに伴い強盗などの凶悪犯罪も増加しています。最も安心して過ごせるはずの我が家が、実は危険と隣り合わせという現実は、何とも心もとない限りです。そこで今回はお父さんの視点から、家族を犯罪から守る住まいを探ります。まずはドロボーを住まいに侵入させないことが肝心。その対策ポイントを、防犯を研究する建物部品メーカー「トステム株式会社(以下、トステム)にうかがいました。 | ||||||||||
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![]() トステムがショールームにセキュリティーコーナーを設けたのは、2004年のこと。警察庁・国土交通省・経済産業省・企業団体らが中心となって開発に取り組んだ、「防犯性能の高い建物部品」(CPマーク※取得製品)が商品化された年でもあります。防犯商品事業推進室長の岩崎信義さんによれば、門扉やドア、窓など、住まいに用いる部品の防犯性能のポイントは大きく2つ。1つは、ドロボーの侵入可否を分ける5分間を目安に、侵入に耐えられること。もう1つは、侵入手口の筆頭であるガラス破りに対処されていること。 |
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「住まいを大きく捉えて、『敷地』『ドア・窓』『室内』という、3重の防衛ラインで考えます」と話す岩崎さん。外部との境域である敷地のチェックポイントとは? 近隣などの視界から身を隠す場所がない家は、侵入者にとってリスクが大きいもの。その時点で、侵入をあきらめさせることにつながります。塀や門扉、車庫のゲート、ベランダのフェンスは、格子など目線の通るデザインのものに。 雰囲気のよい庭木も、配置や大きさ、手入れに気を配りたいものです。夜には暗がりをつくらないことも大切。玄関は明るく、家の裏側や敷地の角には、センサー式のライトやアラームを設置するのがよいでしょう。外構は高さ1.4mを目安に、簡単に乗り越えられない高さのものを。
加えて門扉や車庫は鍵付きにして、侵入されにくくするのが2番目のポイント。ここで『5分間耐える』ことが防犯の要です。インターフォンもカメラや録画機能のあるものを門扉に付けて、安易に敷地に招き入れることを防ぎます。 「郵便物は個人情報の宝庫です。ポストも鍵付きのものが理想的」と岩崎さんのアドバイス。 また、物置やエアコンの室外機など、足場になるものは家から離して設置すること。浴室やキッチンなどの窓下には、歩くと音がする玉砂利を敷くことなども、合わせて配慮したい要点です。 | ||||||||||
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鍵の交換などが進んでピッキングが減る反面、ガラス破りによる侵入が6割を占めるといわれます。ドア・窓の防犯性能は、サッシの強度+ガラスの強度。両方合わせて『5分間耐える』と、防犯に効果を発揮すると考えられています。 玄関まわりでいえば、ピッキングに対処した高性能シリンダーによる、2重ロック以上のドア。サムターン(つまみ)を取り外せるタイプも有効です。またカードキーやリモコンキーによる自動施錠なら、かけ忘れも防げます。もちろん、勝手口も2重ロックに。 窓も同様に、2重ロックが基本。浴室やキッチンなど、人の在・不在が分かりやすい場所には面格子を設置。「鋳物やステンレスなど、より丈夫なものがCP商品になります」。滑り出し窓なら、内部に格子を付けることで対策を。 ガラスは中間に厚手の樹脂シートを挟んだ合わせガラスや複層合わせガラスが、『ガラス破り対策』に威力を発揮します。既存のガラスなら、業者手配の防犯フィルムを貼ることでも、同様の対策を施せます。 最後に室内でのポイントは、警報やセンサーによる出先への連絡などで異常を知り、すぐに通報すること。凶悪な犯罪につなげないための、歯止めです。 様々な防犯ポイントを押さえても、鍵を掛け忘れては元も子もありません。侵入手口の3割は無締りというデータが示すように、ゴミ出しの時の玄関、家にいるときの2階や浴室の窓など、わずかな隙さえ侵入者は狙っているといいます。マンションもオートロックで安心せず、1戸ずつの防犯意識と近隣との連携で、家族が安心できる家、そして安全な街にしたいものです。 ※CPマークとは? 取材・文/甲嶋じゅん子 |