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家ココチ vol.7 父のココチ 『大事な家族を守りたい』
高い治安水準を誇ってきた日本でも、住まいへの侵入犯罪が増え続け、それに伴い強盗などの凶悪犯罪も増加しています。最も安心して過ごせるはずの我が家が、実は危険と隣り合わせという現実は、何とも心もとない限りです。そこで今回はお父さんの視点から、家族を犯罪から守る住まいを探ります。まずはドロボーを住まいに侵入させないことが肝心。その対策ポイントを、防犯を研究する建物部品メーカー「トステム株式会社(以下、トステム)にうかがいました。
Profile
トステム株式会社
アルミサッシから住宅設備機器、外装建材まで幅広い事業を展開。
今回うかがった
トステムショールーム東京
Kokochi01 官民合同で防犯に取り組み

トステムがショールームにセキュリティーコーナーを設けたのは、2004年のこと。警察庁・国土交通省・経済産業省・企業団体らが中心となって開発に取り組んだ、「防犯性能の高い建物部品」(CPマーク※取得製品)が商品化された年でもあります。防犯商品事業推進室長の岩崎信義さんによれば、門扉やドア、窓など、住まいに用いる部品の防犯性能のポイントは大きく2つ。1つは、ドロボーの侵入可否を分ける5分間を目安に、侵入に耐えられること。もう1つは、侵入手口の筆頭であるガラス破りに対処されていること。

では、『5分間耐える』『ガラス破り対策』のキーワードを念頭に、具体的な住まいのチェックポイントを見ていきましょう。

Kokochi02 住まいは3重の防衛ラインでガード
(上)車の陰に隠れられないよう、見通しのよいガレージに。
(下)庭木も生い茂ると隠れ場所になるので要注意。

「住まいを大きく捉えて、『敷地』『ドア・窓』『室内』という、3重の防衛ラインで考えます」と話す岩崎さん。外部との境域である敷地のチェックポイントとは?
「1番目に大切なのは、狙われにくくすること。そのためには見通しをよくして、侵入者が隠れられる場所をなくしましょう」。

近隣などの視界から身を隠す場所がない家は、侵入者にとってリスクが大きいもの。その時点で、侵入をあきらめさせることにつながります。塀や門扉、車庫のゲート、ベランダのフェンスは、格子など目線の通るデザインのものに。

雰囲気のよい庭木も、配置や大きさ、手入れに気を配りたいものです。夜には暗がりをつくらないことも大切。玄関は明るく、家の裏側や敷地の角には、センサー式のライトやアラームを設置するのがよいでしょう。外構は高さ1.4mを目安に、簡単に乗り越えられない高さのものを。

 
ベランダ伝いに侵入される危険があるマンションなどは特にベランダの素材に気をつけたい。 窓やベランダへ上る足場にならないよう、物置や室外機を配置。
住人の目が行き届きにくい場所は、足音が鳴るように砂利をひく。

加えて門扉や車庫は鍵付きにして、侵入されにくくするのが2番目のポイント。ここで『5分間耐える』ことが防犯の要です。インターフォンもカメラや録画機能のあるものを門扉に付けて、安易に敷地に招き入れることを防ぎます。

「郵便物は個人情報の宝庫です。ポストも鍵付きのものが理想的」と岩崎さんのアドバイス。

また、物置やエアコンの室外機など、足場になるものは家から離して設置すること。浴室やキッチンなどの窓下には、歩くと音がする玉砂利を敷くことなども、合わせて配慮したい要点です。

Kokochi03 鍵とガラスの強度が、ドア・窓のポイント
CPマークのついた窓。2重ロックになっている。

鍵の交換などが進んでピッキングが減る反面、ガラス破りによる侵入が6割を占めるといわれます。ドア・窓の防犯性能は、サッシの強度+ガラスの強度。両方合わせて『5分間耐える』と、防犯に効果を発揮すると考えられています。

玄関まわりでいえば、ピッキングに対処した高性能シリンダーによる、2重ロック以上のドア。サムターン(つまみ)を取り外せるタイプも有効です。またカードキーやリモコンキーによる自動施錠なら、かけ忘れも防げます。もちろん、勝手口も2重ロックに。

窓も同様に、2重ロックが基本。浴室やキッチンなど、人の在・不在が分かりやすい場所には面格子を設置。「鋳物やステンレスなど、より丈夫なものがCP商品になります」。滑り出し窓なら、内部に格子を付けることで対策を。

ガラスは中間に厚手の樹脂シートを挟んだ合わせガラスや複層合わせガラスが、『ガラス破り対策』に威力を発揮します。既存のガラスなら、業者手配の防犯フィルムを貼ることでも、同様の対策を施せます。

最後に室内でのポイントは、警報やセンサーによる出先への連絡などで異常を知り、すぐに通報すること。凶悪な犯罪につなげないための、歯止めです。

様々な防犯ポイントを押さえても、鍵を掛け忘れては元も子もありません。侵入手口の3割は無締りというデータが示すように、ゴミ出しの時の玄関、家にいるときの2階や浴室の窓など、わずかな隙さえ侵入者は狙っているといいます。マンションもオートロックで安心せず、1戸ずつの防犯意識と近隣との連携で、家族が安心できる家、そして安全な街にしたいものです。

※CPマークとは?
警視庁の調べでは、人目を気にする侵入者は、5分以内で侵入できなければ7割が断念するというデータが出ている。そこで、「侵入手口に対し、5分以上の抵抗性能を有する」と評価されたものを「防犯建物部品」として、統一のCPマーク(防犯=Crime Preventionの頭文字)によって差別化している。

取材・文/甲嶋じゅん子
撮影/藤井浩司・城田真由子(ナカサアンドパートナーズ)


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