ノムコムトップ > 家ココチ トップ > 家ココチ[Vol.12] シニアのココチ 「スペース要らずの庭づくり」 | ||||||
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「マンションのベランダのように、スペースがあまりない場所でも庭づくりは楽しめる」と語るのは、世界的に著名なランドスケープデザイナーであり、禅僧でもある枡野俊明さん。人間が土に触れたくなるのは当然の摂理。いつでも、誰でも、どこでも庭づくりは始められます。草花の芽吹きや季節を、体で感じながら、あなた自身を庭という空間に表現してみませんか? | ||||||
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横浜の禅寺で住職を務める枡野俊明さんは、最近特に、定年後に庭づくりを始めたという話を、檀家さんから聞くことが増えたと言います。 人は土と向き合うなかで、木の芽吹きや風の湿り具合により草花を植えるタイミングを自然に体得していきます。24時間、室温の調整された、季節の分からないビルの中で働いてきた人ほど、情報で知るのではなく、体で季節を感じとりたくなるのでしょう、と枡野さんは推測します。 庭だけでなく畑や菜園も同じ。つまり、空や風の機嫌をはかりながら、五感を研ぎ澄まして土と向き合う過程には、自分の価値観が変わるほどの大きな発見や学びのヒントが潜んでいるというわけです。 |
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「庭を眺めていると、ほっと自分に返るような感覚はありませんか? 実際に、呼吸が整い、体調も良くなります。庭を眺めることは、坐禅を組むのと同じだと私は思うのです。心が安まって睡眠と同じ状態だと」 心が落ち着くと、坐禅と同様に、自分が客観的に見えてきます。 20世紀という時代は、大量生産・大量消費に追われてきました。しかし、モノは豊かになったけれど、果たしてそれが幸福につながっているのか? 禅僧と同時に、世界を舞台に庭園デザインを手がけるランドスケープデザイナーでもある枡野さんは、庭づくりが今ほど求められている時代はないだろうと語ります。 庭は、執着から無心の世界にわたる大きなチャンス。だからこそ、今、これほどガーデニングがブームとして継続し、多くの人を魅了しているのでしょう。 | ||||||
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では、実際に何から始めればいいのでしょう? 要はその美しさに気づくか、気づかないか。枡野さんは、陰影まで愛でる日本家屋の、計算され尽くした空間の美しさを教えてくれます。 また、土をいじり、手をかけたものには、結果がともない、いつまでもカタチとして残る点も庭づくりの楽しみのひとつと言えます。 でも、初心者がいきなり庭づくりや、植物を育てるのは難しくないのでしょうか。素朴な質問に、枡野さんは穏やかにほほ笑みながら答えました。 | ||||||
取材・文 大平一枝/暮らしの柄 |