ノムコムトップ > 家ココチ トップ > 家ココチ[Vol.10] シニアのココチ 「2度目のふたり暮らし」 | ||||||
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子どもの巣立ち、自分の時間にゆとりのできるシニア世代のリフォームが増えてきています。子育て中心の家造りから、今度は夫婦が主体の快適なふたり暮らしの空間へ。趣味のピアノを購入したことから、築25年を経て大リフォームを敢行したH家を訪問。「リフォームの過程も夫婦で楽しんだ」というH夫人にお話しを伺いました。 | ||||||
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![]() 築25年、2×4の2階建て一軒家を4年前にリフォーム。きっかけは、長年欲しかったピアノを手に入れたことでした。 「自宅でバイオリンを教えているので、防音の部屋があり、そこにすでに1台ピアノを置いていたのです。さらに長年探し求めていたピアノが見つかり、購入することになって。ピアノを2台置けるよう、バイオリンの部屋を広くするついでに、子どもも成人したことだし、いっそ家全部の壁や床を手直ししましょうということになりました」(H夫人)
娘さんはピアノを弾くが、現在は留学中。新しく入手したそれは、H夫人の趣味とのこと。自宅を設計したご主人も、妻の夢を理解していて一念発起、さっそくリフォームの設計に着手しました。 壁と天井は、それまでモノトーン風のペイントを、米松合板にチェンジ。床はオーク材のフローリングにして、全体的にモダンテイストから、木の香漂うナチュラルなテイストに大胆に改修しました。 「年齢的なこともあるかもしれないですね。だんだん、自然素材の自然な風合いを好むようになりました。夫婦で木場に木材を選びに行ったり、あれこれ話し合って決めるのは、思いのほか楽しかったですよ」 日がさんさんと降り注ぐリビングから続くウッドデッキは、段差のないフラットなスタイルに変更。デッキも拡張しました。サッシの立ち上がり(でっぱり)がなくなり、行き来が楽になったそう。家自体が高台にあるため、デッキからの眺めは最高で、リフォーム後、ご主人はビール片手にここに出て夜空を仰ぐことが増えたといいます。 |
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H家のもうひとつの魅力は、リビングの一角にある4畳ほどの書斎です。ご主人のパソコンや本があり、ひとりで書き物をするのにちょうどいい広さ。建築時からありましたが、リフォームを機に窓の開閉方向を変え、個室らしい落ち着く明るさを実現。壁もほかの部屋と同様、ベイマツに張り替えて、大人の隠れ家的書斎が完成しました。 「壁の仕上げの塗装はクリアオイルなどいろいろ試しましたが、最後は身体にもやさしいワトコオイルという自然素材のものにしました。嫌な臭いもせず、ケミカルなものでもないので安心です。家を建てたときは若くて子育てや仕事に手を取られ、ここまでこだわれませんでしたが、今は時間的なゆとりもあるので、細かいところまでこだわって決めることができます。建築は主人の専門なので、『餅は餅屋だわ』なんて、あらためて感心することが多かったです(笑)」 | ||||||
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H家はどこもかしこもピカピカで、モノが少なくすっきり収納されています。リフォームで造り付けの食器棚を増やし、収納を万全にしたこともありますが、もともとH夫人の掃除好きも功を奏しているよう。 「ひとりでも動かしやすいように、すべての家具に脚にはフェルトを貼りつけています。滑りがよくて、掃除も楽なんですよ。キッチンの床はワックスを2度掛けしておくだけで、水はねや油汚れに強くなります」 特筆すべきは、キッチンの換気扇。家庭用の換気扇をガスコンロのすぐ上の壁に取り付け、壁の一部を自在に取り外せるようにしてあります。油汚れもすぐに外して洗えるので、いつでもピカピカ、清潔です。 「家造りやリフォーム時は、引き出しの滑りや片づけやすさ、収納しやすさにもとことんこだわりました。見た目の美しさや便利さも大切ですが、住まいは、何より使い勝手がよくないと。終の棲家ですものね」 いつになるか分からないけれど、次のリフォームの夢は「寒い1階北側のお風呂を2階のロフトに持ってくること」と、「夫婦互いの介護も想定して、より安全な設備に切り替えること」。オール電化も視野に入れているとか。 今回のリフォームで、「こうすればよかった」というような反省点はなかったかという問いに、H夫人はキッパリ。 「ふたりで決めて納得して造っているから、お互いに文句は出ないですね」 シニア世代のリフォームは、夫婦や家族の絆を再確認するかけがえのない機会でもあるようです。 取材・文 大平一枝/暮らしの柄 |