内閣府では平成8年から「高齢社会白書」を年次報告として国会に提出しています。消費税増税が国会を通過し、社会保障がこれほどまでに議論されることになった現在の個人レベルでの課題は、この高齢化社会においての高齢化率の高さだけでなく、高齢者自身の人生の長さであり、それを前提とした社会の仕組みであるといえるかもしれません。
《今後の超高齢社会に向けた基本的な考え方》 | ||
「自己力(健康で活動できる間は自己責任に基づき身の回りのことは自分で行う)を高め、支えが必要になった時でも尊厳のある生き方が出来る社会の実現が重要である」として以下の6つの基本的な考え方を整理している。 | ||
(1)高齢者の捉え方の意識改革 | ||
「65歳は高齢者か?」 これまでの高齢者像は「支えが必要な人」とした固定観念があった。これは意欲と能力のある現役の65歳以上の者の実態から乖離しており、高齢者の活用という観点において阻害要因となっていた。これからは意欲と能力のある高齢者には「支える側」にまわってもらう意識改革が必要である。 | ||
(2)老後の安心を確保するための社会保障制度の確立 | ||
「支え支えられる安心社会」をめざして、格差の拡大等に対応し所得の再配分機能の強化や未来世代を育てるための支出の拡大を通じて全世代にわたる安心の確保をはかる。 | ||
(3)高齢者パワーへの期待 | ||
「社会を支える頼もしい現役シニア」に活躍してもらうため、高齢者の「居場所」と「出番」をつくり住民間の連携を促進するとともに、高齢者の消費を活性化する。 | ||
(4)地域力の強化 | ||
顔の見える「互助」によるコミュニティの再構築、孤立化防止のコミュニティづくり。 | ||
(5)高齢者に優しい社会はみんなに優しい | ||
「安全安心な生活環境」を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方を一層推進し、生活圏域の環境整備、社会全体での犯罪防止や組織的な成年後見体制の構築が必要である。 | ||
(6)若年期からの「人生90年時代」への備え~ワークライフバランスと次世代へ承継する資産~ | ||
「人的資本の蓄積とその活用」をめざし、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)のとれた環境を整備するなかで、高齢者の生きがい形成や健康啓発をはかる。さらに「資産形成とその活用による安定した老後生活の実現」を図り、あわせて高齢者が残した資産が次世代に適切に承継されるよう、適切な資産移転や社会に還流できる仕組みを構築し、また既存住宅を適正に評価し流動性を高める中古住宅市場の整備が重要である。住宅や住環境及びその資産価値が世代を通じて循環する仕組みが不可欠である。 |