2012.6.29:Vol.257

平成24年版土地白書の公表(中古住宅流通市場について)
毎年6月には国土交通省から土地白書が公表されています。今年は、従来、土地白書ではほとんど取り上げられることのなかった「中古住宅流通市場」についてその現状と課題が報告されています。白書は「良いものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会を構築するという表現で、この中古住宅流通市場の整備を進めていく必要性を訴えています。
- 住宅市場を概観すると、新設住宅着工戸数は近年減少傾向にある中、中古住宅流通戸数は安定的に推移していて、結果として全住宅流通量(新設住宅着工戸数と中古住宅流通戸数の合計)に占める中古住宅流通戸数の割合は、平成元年の8.0%から平成20年には13.5%にまで上昇している様子が示されています。(図1参照)
- しかし、全住宅流通量に占める中古住宅流通戸数の割合を諸外国と比較すると、日本が13.5%であるのに対し、米国は90.3%、英国は85.8%、フランスは64.0%と大きく差があり、これらの諸国と比べると6分の1程度と低い水準にあるといえます。
- さらに、戸建住宅の内、注文住宅が占める割合をみると、日本は7割以上となっていて、約3割のアメリカに比べても高くなっています。このことは日本の戸建住宅の購入者が将来の住み替えを想定せずに自分の好みに合った住宅を取得している事を示していると白書では解説しています。
- 住宅投資に占めるリフォ―ムの割合を諸外国と比較してみると、独仏英では住宅投資額の半分以上がリフォームにかける費用で占められている中、日本ではリフォームにかける費用は住宅投資額の約3割程度にとどまっていることが示されています(図2参照)。中古住宅流通市場の整備によって適切な維持管理とリフォームを促進し、住宅の質の維持・向上を図ることで中古住宅流通市場の厚みが増し、市場の活性化を促したいとしています。
- また、新築住宅購入者に対して、新築・中古別に住宅の購入の検討状況について尋ねたアンケート調査によると、新築購入者のうち、新築住宅のみを念頭においている者の割合46.2%に対し、主に新築住宅を検討しつつも中古住宅も検討対象とする者が33.6%、新築中古にこだわらず検討した者が18.6%となっており、約半数の人は中古住宅を検討対象から除外しているわけではないという報告が示されていて、中古住宅に対する需要の高まりが期待されています(図3参照)。
(担当:池田 徹)