2012.03.05:Vol.252

東京都の高齢層は転出超過になっている
総務省が毎年発表している住民基本台帳による人口移動調査で、平成22年報告から年齢区分別の構成についても発表されるようになっています。今回はその結果を織り込みながら、高齢者層の転入転出超過数の状況を見てみたいと思います。人口が移動するその要因は、さまざまなものがあると想定されますが、都道府県外への移動は生活基盤の変化の表れと見ることもできることから、若年層とは異なった動きが見られるものと考えられます。
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平成23年の人口移動報告において、最も転入超過数の多かった東京都において(不動産コラムVol.251を参照してください)、年齢区分別にその分布を見たものが下記のグラフになります。これによると、転入超過数の最も多い年齢層は20代、次いで10代となっています。平成23年の報告では、この2つの年齢層のみがプラス(転入超過)になっていて、他の年齢層は全て、マイナス(転出超過)となっています。特に平成22年・23年共に60代での転出超過数が多く、この層において特に東京都以外へ転出する傾向があるものと考えられます。
■図1:東京都における人口移動・転入超過数の年齢区分別分布(平成22年・平成23年の推移)
※都道府県間移動者数における転入超過数を表す。グラフは総務省「住民基本台帳人口移動報告」より、当社にて加工したものです。
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高齢層(ここでは60歳以上の層を対象とした)のみを取り上げて、その都道府県外への転入超過数分布を都道府県別にみたものが下記のグラフになります。これによると、最も転出超過数が多いのは、東京都△7,914人、次いで福島県△1,936人、大阪府△1,727人と続きます。平成23年の特徴としては、前回転入超過だった宮城県や福島県において、震災の影響により高齢層においても大きな転出超過に転じていることが見て取れます。また、東京都では、前回とほぼ同じ数の転出超過数となっていますが、大阪府においては、前回よりかなり減少していることが分かります。
■図2:高齢層(60歳以上)における転入超過数の都道府県別分布(平成22年・平成23年の推移)
※都道府県間移動者数における転入超過数を表す。グラフは総務省「住民基本台帳人口移動報告」より、当社にて加工したものです。
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60歳以降の層においては、定年などの就業環境の変化、子供の移動等に伴う転居、高齢者施設への移動などの様々な要因によって住所地の移動(特に都道府県外への移動)が発生するケースが多く、特に東京都においては出ていく人が多いという結果となっています。
(担当:池田 徹)