2011.11.24:Vol.248

相続税の申告状況
国税庁では、相続税の申告にかかる課税状況をホームページで発表しています。一時、地価の上昇傾向が続いていた路線価の変動率もここへきて下落基調となったことから、死亡者数は増加を続けているにもかかわらず、相続税の納付額も下落基調となってきています。昨年暮れの税制改正大綱で示された、相続税の基礎控除額の縮小等の増税案は、積み残しになっていますが、税収アップの重要な項目として位置づけられているため、状況を見守る必要があります。
-
震災復興増税に関する政府税調の税制改正大綱が発表され、積み残しされた「相続税の基礎控除額引き下げ」等の法案が今国会での審議対象となっていましたが、今国会では見送りとなりました。今後の取扱いが注目されます。
-
ところで、こうした動きの背景として、相続税の税収が縮小しているという問題があります。人口が減少する時代に入ったものの、高齢者の増加で、死亡者は年々増加の一途をたどっている一方、相続税の納税額は、平成7年に2.2兆円あったものが、平成16年に1.1兆円にまで縮小し、その後地価の上昇と共にやや上昇したものの、また、減少に転じています(図1)。
-
また、相続が発生した件数(死亡者数)に対する課税件数の割合は、平成7年に5.5%だったものが、直近データの平成21年には4.1%にまで落ち込んでいます。すなわち、96%は課税されない相続であるということになり、国としてはこの課税件数の割合をあげたいと考えています。ただ、これは全国平均の数字であり、東京国税局管内では、6.6%という高い数字になっていることに注意しておきましょう。
-
さらに、申告があった相続における相続財産に占める取得財産の価額の内訳として、最も大きいものは、「土地」ということになりますが、この割合は、年々変化しています。平成6年には全体の70%が土地資産でしたが、平成18年には47.8%にまで縮小しており、直近データの平成21年には49.8%となっています。また東京国税局管内としての数字は、全国に比べ約4ポイント高い割合です(図3)。
-
なお、直近の話題としては、国税庁は11月1日、路線価に東日本大震災による被災地の地価変動を加味した「調整率」を公表しました。首都圏では、浦安市の一部において「0.6」という調整率が提示されるなど、千葉県と一部埼玉県に指定がされていますので該当の方は注意してください。