2010.12.6:Vol.232

「人口動態」の変化と「不慮の事故死亡」の変化
厚生労働省では、人口動態統計を発表しています。日本人を対象として、出生や死亡等の人口にかかわる動態が把握できます。近年いよいよ人口減少時代に入り、人口に対する関心が高まってきていますが、特に「人の死亡」についての動向には直視せざるを得ないものがあると言えるのではないでしょうか。今回は、今年25年ぶりに報告されている「不慮の事故」に関する統計を元にその変化を見てみたいと思います。
- 人口動態(出生、死亡、婚姻、離婚)の数の長期の推移を見ると、
1.出生数減少
2.死亡数増加
3.婚姻数やや減少
4.離婚数やや増加
という傾向が見てとれます。
人口減少の要因としての人口の自然減少数は「死亡」から「出生」をひいた数ということになります。
- 死亡については、その原因が調査されていて、いわゆる三大疾患が上位にならびますが、老衰が近年順位を上げている事がこのところの傾向です。
病気以外では「不慮の事故」と「自殺」が原因の上位6位と7位に入っていて、この「不慮の事故」に着目してみます。
- 今年「不慮の事故死亡統計」が、25年ぶりに取りまとめられていますので、原因別の推移を図3に示しました。食べ物をのどに詰まらせるなどの「窒息」が9419件と第一位で、半減した「交通事故」が7499件、転倒転落が7170件、浴槽で溺れるなどの「溺死」が6464件と続いており、交通事故以外の事故の件数が増加していることがわかります。
報告では、それぞれの死亡率が高まったのではなく、死亡率の高い高齢者が増加したためとしています。平成20年における「不慮の事故死」を分析した結果、
1.冬に増加
2.高齢ほど窒息/転倒/溺死が増加
3.18時~24時の時間帯に発生が増加
といった特徴が示されています。
また、家庭での事故死が13,240件で、交通事故の件数を除く不慮の事故の43.2%を占めていることに注意を払う必要があります。家庭内での不慮の事故に限定した場合、第一位「溺死4079件」、第二位「窒息3995件」と順位が逆転します。
※上記不慮の事故死亡に関する数字はいずれも平成20年を対象としています