2010.6.30:Vol.224

平成22年度版土地白書から
最近の土地取引の動向やそれに伴う国民や企業の意識について、国土交通省では、毎年「土地白書」として調査公表しています。今年の白書は、リーマンショックに伴う景気後退から徐々に回復して、持ち直しの動きが見られたところであり、不動産市場の動向もこのような動きを反映している、としています。ここでは、土地取引件数の推移と土地所有の意識についての変化を取り上げてみましょう。
- 土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でみると、全国・大都市圏・地方圏ともここ数年減少が続いており、平成21年中の全国の土地取引件数は対前年比8.6%減(118万件)となっています。四半期毎の推移を前年同期比でみると(図1)、全国・大都市圏・地方圏ともここ数年マイナスで推移してきていましたが、平成21年に入り減少幅が小さくなり、特に東京都については、平成21 年4-6 月期以降プラスに転じています。地価との動きとの対比でも、地価の上昇下降にやや遅れて取引件数が変化していることが分かります。
- 国土交通省が行っている「土地問題に関する国民の意識調査」において、土地の資産としての有利性に関して、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」との質問に対し、「そう思う」と回答した者の割合は、平成5年度、6年度は6割以上でしたが、平成10年度以降、3割台で推移しており、平成20年度調査では、39.3%まで割合が増加していました。ただ、昨年来の地価下落を受け、土地資産の有利性に肯定的な割合が、平成21年度調査では大きく減少していて、有利とは思わない割合が、増加しています。
- 同じく国土交通省の調査で「土地所有と企業行動の調査」において、「今後、土地建物の利用について、所有と借地賃借ではどちらが有利になると思うか」という設問に対し、ほぼ一貫して所有が有利と答える企業の割合が少なくなっていましたが、今回の平成21年度の調査では、「今後、所有が有利」と答える企業の割合が9ポイントの大幅な増加を示しました。企業の不動産資産に対する考え方は、地価の上昇下降から横ばいへという変化に対して、個人の意識とはやや異なる傾向を示しています。