不動産コラムトップ  >  Vol.223
[an error occurred while processing this directive]
バックナンバー一覧
2010.6.3:Vol.223法律や制度

耐震基準適合証明でメリットを受ける制度は?

5月下旬から、社団法人不動産流通経営協会(FRK)が主催する建物検査モデルが導入されることになりました。業界団体のリードによって従来わかりにくかった建物検査が実施できるということは、公正な立場での安心できる検査が期待できるという点で画期的な制度の創設と受け止められます。このメニューの中にある「耐震診断」について、その利用メリットを受ける制度を整理してみたいと思います。

  • 住宅ローン控除などの税制の緩和制度には、一般住宅の場合築後20年以内、耐火建築物の場合築後25年以内、という築後年数制限が設定されています。これは、昭和56年の新耐震基準以降の建物であり、かつ建物の年数経過にともなう老朽化を考慮した制限内容となっています。これに対し、平成17年の制度改定によって、この基準を超えた築後年数の建物でも、耐震診断の結果「基準」を満たすことが証明されたものについては、税制の特例を適用できるようになっています。今後既存ストックの活用という観点で、この制度を積極的に利用していきたいものです。
  • 「耐震基準適合証明書」を取得することによってメリットをうける制度には下記のものがあります。今回のFRKバリューアップモデルメニューの中の「耐震診断」を受けて取得することもできます。
    ■表:耐震基準適合証明書の取得によって特例対象となりえる制度の一覧
    1.住宅ローン減税 所得税の税額控除
    2.贈与税1500万円非課税制度(H23年は1000万円) 贈与税の非課税
    3.住宅取得等資金相続時精算課税制度 贈与税の非課税
    4.特定の居住用財産の買い換え特例 長期譲渡所得の課税繰り延べ
    5.住宅用家屋の所有権移転登記の登録免許税の軽減 建物所有権移転、抵当権設定
    6.中古住宅の取得の不動産取得税の軽減 不動産取得税
    7.地震保険の耐震診断割引制度 保険料の10%割引
    ※それぞれの優遇適用の詳細は別途確認してください。
  • これらの制度の利用にあたっての注意点をまとめてみました。
  • 1)証明書の有効期限としては、証明書に係る調査終了日から対象住宅の取得日(所有権の移転日)までの最大期間は2年間とされています。
  • 2)各適用税制等の種類によって、証明書の形式が異なります。
  • 3)マンションの場合は、対象住戸を含む建物全体について耐震基準に適合することの証明が必要になります。また過去に行われた適合証明書がある場合は、証明書の発行にあたって参考となりえる場合がありますので、検査機関等に確認してみましょう。
  • 4)適用にあたっては、所有権の移転の日(引渡日)前に証明書を取得しておく必要があります。
  • 5)特に、住宅ローン減税の適用にあたっては、住宅の引渡を受けた後に耐震基準適合証明書を取得しても税制の特例は受けられませんので注意しましょう。
  • 6)不動産取得税については、登記簿上の建築の日付が昭和57年1月1日以降の住宅であれば、適合証明は不要です。
  • 7)この適合証明書の申請者は、原則として売主に限られます。(売主以外が申請者の場合は税務署に確認が必要です)
  • 8)特定の居住用財産の買い換えの場合は、耐火建築物のみ「築後25年以内又は耐震基準適合証明が取得できるもの」という制限がありますが、木造については制限がありません。
  • 9)地震保険の耐震診断割引は、耐震等級割引の制度とは異なる制度です。
  • 10)税制に関連する優遇制度には、他に登記簿上の床面積が50m2以上という制限がありますので注意しておきましょう。
  • なお、フラット35に係る適合証明書は、この耐震基準適合証明とは異なる制度によるものですので、そのまま利用することはできません。
ページの先頭へ
[an error occurred while processing this directive]