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不動産コラム
 Vol.172(H19.3.16)  


■ 平成19年度税制改正シリーズ4 
    中小企業向け税制改正・創設について


事業の将来性、後継者不足、相続問題等、日本経済を支えるべき中小企業には課題が多い。具体的な対策を講じていくことが中小企業の活性化を促し、ひいては雇用確保や地域経済の活性化に繋がると考えられる。こうした観点で中小企業税制の枠組みは随時検討されており、平成19年においてもいくつかの改正・創設が予定されている。(平成19年3月には法案が国会可決・成立の予定。)


同族会社の留保金課税制度の改正
中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃留保金課税とは、特定同族会社が一定金額以上内部留保した金額に追加で課税する制度です。
上場会社をはじめとする非同族会社等では、一般的に利益処分により配当を出します。会社利益を株主に配当した場合、株主側の利益として課税されます。
そこで、この課税を避ける目的で、特に同族会社では配当を行なわずに利益を内部に溜め込むことが考えられるため、過度な内部留保による課税の繰延べを防止する目的で設けられている制度です。

特殊支配同族会社に係る役員給与の損金不算入制度の改正
要件に該当する場合には、業務主宰役員(オーナー役員)の給与のうち利用可能な給与所得控除額分を、法人の所得金額を計算する段階で損金の額には不算入とする制度です。役員給与の損金不算入は、役員給与額が法人経費となり、かつ給与所得でもあるため給与所得控除額という経費が認められることから、二重控除になってしまう点を重視して導入されました。
要件: 業務主宰役員とその同族関係者等(社長などの一族)が、発行済み株式等の90%以上を保有([1]発行株式・出資の総数[2]議決権割合[3]持分会社の社員数割合(業務執行役員に限る)のいずれかが90%以上)し、かつ業務主宰役員グループの総数が常務に従事する役員総数の過半数を占めていること。

“取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度”の創設(当面2年間)
現行の相続時精算課税制度は、基本「65歳以上の親から20歳以上の子へ財産を贈与する際に、2,500万円の非課税枠までは課税されない」というものです。特に「一定の住宅取得資金のための贈与」については、贈与する父母の年齢制限は無く、非課税枠は3,500万円となっています。更に今年から、中小企業の早期かつ計画的な事業承継を円滑に進める目的で、オーナー経営者が、取引相場のない株式等(自社株式等)を後継者である子供(会社の代表者になる場合に限られます)に贈与する場合には、一定要件を満たす条件で贈与者の年齢制限が60歳以上に引き下げられ、非課税枠は3,000万円に引き上げられる新たな制度が創設される見込みです。(2007年1月1日から2008年12月31日までの間の贈与)
◯適用要件
(1) 当該会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が20億円未満であること。
(2) 次の各要件を、この特例を選択したときから4年経過時において満たしていること。
1. 当該受贈者が当該会社の発行済株式総数の50%超を所有し、かつ議決権の50%超を所有していること。
2. 当該受贈者が当該会社の代表者として当該会社の経営に従事していること。
この制度の活用に際しては、税理士等の専門家にご相談の上実行して下さい。









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