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不動産コラム
 Vol.157(H18.7.20)  


■ 不動産投資市場活発化の土地市場への影響~土地白書より~

先日国土交通省より「平成18年度版土地白書」が発表されました。人口構造や産業構造など社会経済の構造が変化する中、土地に対する意識・行動の変化や、空地・低未利用地の増加など土地市場の構造変化も見られるようになりました。一部地域で活発な動きがあるものの土地需要が総じて低迷している状況において、活発化している不動産投資市場が土地市場に与える影響についてまとめていますので、ご報告します。
今回の土地白書は、「我が国の土地をめぐる状況は大きく変化している」と指摘しています。
今後、わが国の人口が平成16年でピークを迎え、世帯数も平成27年にピークを迎えると予想される中で、土地需要の大きな伸びは期待できず、また低・未利用地の増加をもたらすおそれもあるとみています。
土地需要者として大きな役割を占めてきた企業部門では、産業構造が第二次産業から第三次産業へと推移したために、工場など広い土地を必要とせず、小さい土地で収益を生み出せるようになった他(図1参照)、資金調達手法等の企業経営を取り巻く変化も手伝い、全体的な需要が減少傾向にあります。
最近の土地市場動向としては、新たな不動産投資手法の活発化を反映して、収益性や利便性が重視される傾向が強まっています。
<土地市場にとっての不動産証券化の拡大の意義>
不動産証券化という新たなスキームを用いた投資市場の活発化は、土地市場にとって、不動産鑑定評価の充実や取引価格等の情報整備・提供など不動産業の構造改革を促進させ、情報が開示されることにより市場の透明化を図れる他、以下の点で意義を有していると指摘しています。
<新たな買い手の創出>
平成17年中に証券化された不動産資産額は約6.9兆円で、前年に比べて約1.3倍と伸びており、市場規模は拡大しています。その背景としては、伝統的な投資対象とは異なるリスク・リターン特性を有する不動産証券化商品に対する投資ニーズが高まっている中、不動産投資市場における予想配当利回りと長期金利との間に格差が存在する事が挙げられます。
<投資リスクの分散による優良な都市ストックの形成>
Jリートによる不動産の取得も拡大しており、平成17年度末の保有物件の総額は約4兆円となっています。投資対象として当初のオフィス中心から、住宅や物流施設などへ多様化するとともに、投資地域についても多様化し地方圏でも投資が活発化しています(図2参照)。
<不動産保有構造の変化>
上場企業が行う不動産取引のうち、JリートまたはSPCが買い手となる割合は年々増加しており、平成17年度下期では、購入主体の64%がJリート又はSPCとなっています(売買価格ベース)。
信託受益権の取引も活発化していて、Jリートが保有している物件のうちその多くが信託受益権の所有という形式を取っている事も特徴です。



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