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不動産コラム
 Vol.149(H18.3.28)  


■ シリーズ「H18年度税制改正」6~相続税・贈与税


H18年度税制改正シリーズ6回目は「相続税・贈与税」です。自己資金や住宅ローンの他に住宅の購入資金として期待されているものに、親族からの資金援助があります。従来、贈与の特例(五分五乗方式)や相続時精算課税制度が選択利用されていましたが、今回の改正により、五分五乗方式が廃止されます。その他、相続に関しての物納方式の根本的見直しやいわゆる長者番付の廃止など、相続・贈与に関して様々な改正がされましたので確認していきます。

従来、不動産の取得にあたって、親・祖父母等親族からの資金贈与を利用する際に、納税負担を軽減する特例が選択制で2つあり、住宅購入資金としての贈与を受けるにあたり、利用されてきました。その内、今回のH18年税制改正により、「住宅取得資金の贈与の特例」が廃止され、「住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例」が延長されることとなりました。

今回廃止された「住宅取得資金の贈与の特例」とは、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額計算の特例であり、父母・祖父母から住宅取得資金等の贈与を受けた場合に、一定要件を満たせば住宅取得資金等の1,500万円までの贈与について基礎控除を5年分先取りし(550万円まで非課税)、5分5乗方式で贈与税額を計算し軽減するというものでした。この制度は従来から広く利用されていましたが、H18年税制改正により、H17年12月末をもって使えなくなったわけです。これにより、祖父母から孫へのマイホーム資金の贈与に際して、利用できる特例は無くなります。
延長された「住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例」は、H15年に新設された「相続時精算課税制度」についての時限特例措置です。「相続時精算課税制度」とは、親から子への贈与に対して、贈与発生年に贈与税を掛けるのではなく、相続発生時までの贈与額2500万円までは非課税とし、相続時にまとめて精算する制度です。この制度を利用するには、贈与者65歳以上・受贈者20歳以上と年齢制限がありますが、住宅の取得または増改築のための資金の贈与を受けた際に、特例により一定の要件を満たせば通常の相続時精算課税の非課税枠2,500万円に1,000万円を上乗せし、さらに65歳未満の者からの贈与についても相続時精算課税制度の対象とすることができます。H18年税制改正では、この特例の適用期限がH19年末までと2年延長されました。

相続税の物納制度については、H18年税制改正により、手順の明確化・迅速化等の観点から、抜本的な見直しがされ、1.物納許可基準の明確化(物納不適格財産、劣後的に物納を認める財産=物納劣後財産、を明確化する)、2.物納手続きの明確化と迅速化(手続きを法令により明確化し、許可に係る審査期間も短縮化される)などが盛り込まれました。

他にも、延納中で資力の状況の変化等により延納による納付が困難となった場合に、改めて物納を選択することができる制度が創設されています。これら物納についての改正内容は、H18年4月1日以後に相続または遺贈により取得した財産に係る相続税について適用されます。
今回の改正では、他にも本来の制度目的とは異なる用途に使われているとの指摘を受けて、所得税、相続税、贈与税、法人税および地価税の申告書に係る公示制度、いわゆる「長者番付」も廃止とされました。
※ 制度の活用に際しては、税理士等の専門家にご相談の上、実行して下さい。




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