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不動産コラム
 Vol.119(H16.7.12)  


景観緑三法の成立


景観緑三法とは、「景観法」「同法の整備法」「都市緑地保全法改正」の3つの法律のことをいいます。この中で、景観法の制定が重要で、良好な景観を「国民共通の資産」として位置付けた基本法です。景観という文字は、従来法律になじみにくく、やっと登場した法律といえるでしょう。この法律は、国土交通省と農水省が管轄するもので、環境省ではないところに注意が必要です

先般の国立マンション訴訟の例でも明らかなように、我が国では景観を目的とした土地利用規制がほとんどありませんでした。空中を覆う電線や氾濫する広告の類も野放しで、農村も含めて貧しい景観国になってしまったことは共通の思いでした。今回やっと国のレベルで、「景観」という難しい対象に法律の目を向けた事は、画期的といえるのではないでしょうか。

特に「景観法」という法律は、いわゆる「基本法」として位置付けられるもので、3文字の法律というのは、近年珍しいと言えるでしょう。逆にいうと、2文字の主要法律の次に位置する重要法律であるとも言えます。しかしながら、現在のところあまり認知されていないきらいがあり、ここで要点をまとめておきますので、今後の動向に注目してください。

景観法の全体イメージ(都市景観だけでなく、農山漁村や里山などの風景も対象とする)

<キーワード>
(1)景観計画の策定=都道府県と景観行政をつかさどる市町村が景観行政団体となる
(2)景観計画区域での行為規制=建築物の建築に届出・勧告による規制とともに必要な場合は形態意匠に関する変更命令を出す事ができる
(3)景観重要建造物=指定建物の現状変更は許可制とし、整備機構が管理できるようにする。

関係法令の整備
(1)都市計画法や建築基準法の一部改正:景観地区の創設に伴う規定
・「美観地区」を廃止し「景観地区」を追加
・形態規制の合理化(斜線制限適用除外)
(2)屋外広告物法の一部改正
・規制の実行性確保のため、違反広告物の簡易除却等の制度を改正する
・屋外広告業の登録制度の導入(条例で対応)~営業停止が可能

都市緑地保全法等の一部を改正(都市緑地法と改名)
(1)緑化率規制の導入:用途地域が指定されている区域で緑化地域を指定し、現時点の想定では 1000m2以上の敷地の建築確認に建蔽率に連動した緑化率を義務付ける。
(2)立体都市公園制度の導入:再開発などで人口地盤等の都市公園を指定できるようにする。





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