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不動産コラム
 Vol.117(H16.6.4)  


今年の「中小企業白書」


昨今、景気の回復傾向を示す記事が多く見られるようになりました。中小企業に対する関心も高くなってきている事が窺えます。  日本の中小企業は全企業数の99.7%、従業員数でも約70%を占めていて、本格的な景気回復は、この中小企業が握っているといえます。新しい産業や就労の機会を提供する存在として、今年の白書のテーマは、中小企業の「多様性」に焦点をあてています


中小企業白書は中小企業を巡る景気の動向や新しい動きを分析し、今後の課題などをとりまとめているものです。

中小企業を取り巻く景気動向は、一昨年の春以降、景気は持ち直しの動きを見せているものの、業況判断DIがプラスに転じた大企業に比べて回復に遅れが見られます。ただ、中小企業の中でも、製造業・非製造業の比較では、2001年末の業況判断DIは共に△40だったものが、2003年末の調査では、非製造業の△31に対して、製造業△16と大幅な改善がみられます。

中小企業の倒産動向でも、昨年の水準から15%減少して15,877件となり、ここ3年間続いた18,500件前後の倒産件数の水準から大きく改善した事が報告されています。

白書は、毎年「テーマ」を設定して、中小企業を巡る新しい動きを分析していますが、今年度の白書では、以下の4つが今年のテーマとして取り上げられています。
(1)『新しい価値を創造する、多様な中小企業(ニューサービス)』
(2)『グローバリゼーションの中での中小企業』
(3)『中小企業の世代交代と廃業の問題』
(4)『中小企業の再生を支える金融』

「ニューサービス」という観点で
は、近年の経済停滞にもかかわらず中小企業は多様な新しい業種を登場させているとして、右表のような調査結果を載せています。そして、ニューサービス市場では、高齢化・健康意識・IT技術の普及・嗜好の変化がその要因にあり、中小企業はそれらをすばやく捕らえて市場を形成していく存在であるとしています。

「金融」については、土地神話の崩壊で、従来の土地担保融資を継続する事が困難になってきた中での、中小企業の資金調達についての現状が報告されています。右図のように、従業員規模によってメインバンクの業態に明らかな違いがあると共に、従業員規模が小さいほど短期借入金利が高いことが特徴となっています。中小企業金融の特性を要約すると、

となりますが、最近の状況では「新しい事業活動」については、新しい資金調達の制度や再生支援の方法、金融機関の積極姿勢等がみられることが紹介されています。





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