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不動産コラム
 Vol.109 (H16.2.2)  


マンション標準管理規約の改正


分譲マンションにおいて、住民が長期に快適に安心して生活するために、住民の間で主体性をもってマンションの維持、管理や生活の基本的ルール(管理規約)を定める必要があり、その管理規約の標準モデルとして、「標準管理規約」がありますが、このたびこの規約が改定され、国交省より公表されました。


今やストック戸数で約450万戸、居住人口は約1200万人(昨年末現在の推計)に達しようとする分譲マンションは、建物・敷地を共有し、居住者(区分所有者)全員で管理組合を結成し共同で管理するのが基本です。管理組合の8割以上はその業務を管理会社に委託しているため、大きな問題が生じて管理組合が自ら解決に乗り出さなければならなくなり、あわてるケースが多く見うけられます。滞納管理費は典型的な例ですが、トラブル内容もかつての建物の不具合から居住者間の生活マナーに関するものが多くなっているようです。
こうした問題の解決を図り適切な運営を行う際の基準となるのが管理組合の規約です。
管理規約は、本来、居住者が話しあって主体的に決めることが原則ですが、大半のマンションでは、デベロッパーが提示した管理規約案を、購入者全員が一人ずつ承認することで定めている(いわゆる「原始規約」)のが実態です。ですから未然にトラブルを防ぎ、問題を解決するためには、共同生活スタート時、分譲時点での規約設定が大変重要となってきます。

マンション関係法制度は平成13年にマンションの管理の適正化の推進に関する法律、平成14年にマンションの建替えの円滑化等に関する法律、平成15年には建物の区分所有等に関する法律の一部改正と、マンションを取り巻く環境の変化に対応した整備が計られてきました。そしてこの度、共同生活に密接な標準管理規約の改正がおこなわれた訳です。

標準管理規約の位置付けとしましては、管理組合が各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際(特に新規分譲時の規約案作成時)の参考であり、マンションにおける良好な居住環境が確保されることが期待されます。以下改正ポイントをまとめてみました。

§マンションに関する法制度の充実を踏まえた改正 §マンションを取り巻く情勢の変化を踏まえた改正
≫標準管理規約の名称及び位置付け
(1)法令用語として「マンション」が定着、「中高層共同住宅標準管理規約」を「マンション・・・」と変更.
(2)管理組合が各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考.
≫新しい管理組合業務の追加
(1)修繕等の履歴情報の整理及び管理等を規定.
(2)地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成.
≫専門的知識を有する者の活用に関する規定の新設
マンション管理士ほか専門的知識を有する者の活用に関する規定の新設.
≫未納管理費の請求に関する規定
管理費滞納に対する対応として、理事会決議により理事長が、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる旨を規定.
≫建替えに関する規定の整備
建物建替えの合意形成に必要となる事項の調査業務を管理組合業務として追加.調査、建替え計画、設計の費用は修繕積立金から取り崩しできる規定を整備.
≫環境問題、防犯問題への対応の充実
防犯、防音、断熱などの住宅の性能の向上に資するものについては、管理組合がその責任と負担において計画修繕として実施.
≫決議要件や電子化に関する規定の整備
敷地と共用部分の変更に関し、普通決議で実施可能な範囲を「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」と規定.電磁的記録による議事録作成や電磁的方法による決議などに関し規定を整備.
≫設備の共用部分規定と規約案文例
インターネット通信設備、オートロック設備、宅配ボックスなどを共用部分として規定.給排水管の共用部分の範囲をより詳細に規定.ペット飼育等の規約案文例の充実.






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