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不動産コラム
 Vol.106 (H15.12.15)  


税制改正大綱の決定


平成16年度の与党税制改正大綱が発表されました。住宅ローン減税の規模は現行のまま1年間延長することや、企業の不良債権処理を促進するための税制措置など、住宅投資や企業経営に配慮した対応を盛り込む一方で、高齢者への年金課税の強化や、個人住民税の均等割りの拡大など、個人向けは増税色の濃い内容です。


与党の平成16年度税制改正大綱は「デフレ不況から脱却するために欠かせない資産の活用による経済の活性化」策として、住宅土地税制では土地の譲渡益課税率の軽減や住宅ローン減税の延長で土地取引持家取得を支援し取引の活性化を目指しています。 今後の不動産を中心としたタックスプランニングに関しては、住宅を売却して出た損失について一定限度でカバーする新制度や事業用資産の買換え特例の延長、譲渡益に対する税率の引下げ、譲渡損失の他所得との損益通算の廃止など重要な改正項目が並びました。

しかしながら住宅ローン減税も、大多数の一般的なローン利用者への影響は少ないといえますし、土地譲渡益課税率の軽減も売って利益の出る土地がどれほどあるのかは疑問です。

住宅税制

改正前(現行)
改正後(H16.1.1以降)


【住宅ローン控除】
年間最大50万円を10年間控除
H16年入居者には現行の減税規模(最大500万円)を維持。H17年入居者から段階的に縮小し、H20年に最大160万円とする(年末残高の限度額及び控除率の変更)
【買替え】
特定居住用財産の買換え時の譲渡損失の繰越控除
適用範囲を拡大(残債要件の撤廃)し、適用期間を3年延長する
【買換え・交換】
特定居住用財産の買換え及び交換の特例
現行制度をH18.12.31迄3年間延長
【新設】住宅売却時の譲渡損失の繰越控除制度 買替えに限らず個人がH16.1.1からH18.12.31までの間に所有期間5年超の居住用財産を譲渡してもローン残債が譲渡価格を超える場合には、その損失は翌年以降3年以内の各年分(合計所得金額が3000万円以下である年分に限る)の総所得金額からの繰越控除を認める。

土地税制

改正前(現行)
改正後(H16.1.1以降)


【長期譲渡所得課税】
保有期間5年超の土地譲渡の場合、譲渡益に係る所得税・住民税の税率は26%
所有期間5年超の土地譲渡の場合、譲渡益に係る所得税・住民税の税率を20%に下げ(所得税15%住民税5%)
【短期譲渡所得課税】
保有期間5年以内の土地譲渡の場合、譲渡益に係る所得税・住民税の税率は52%
保有期間5年以内の土地譲渡の場合、譲渡益に係る所得税・住民税の税率は39%(所得税30%住民税9%)
【土地等の譲渡損失の損益通算】
他所得との損益通算可能
土地建物等の譲渡損失の金額については、土地建物等の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越は認めない
事業用資産の買換特例 H18.12.31迄3年間延長
【長期譲渡の100万円特別控除】 廃止


事業用資産の買換特例 H18.12.31迄3年間延長
土地重課適用停止 H20.12.31迄5年間適用停止延長






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