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不動産コラム
 Vol.104 (H15.11.10)  


相続税に関する調査


国税庁の相続税の申告事績によりますと、平成13年中に相続・遺贈により財産を取得した人で課税対象となる被相続人の割合は5%を割り、相続財産に占める土地の割合が6割を下回りました。地価下落の影響、デフレ経済を反映しているものといえます。


国税庁はこのほど、平成13年中に相続・遺贈により財産を取得した人の相続税の申告(平成14年10月31日迄に提出の申告書)の概要を公表しました。 被相続人数(死亡者数)の約97万人(前年約96万人)中、相続税の申告対象となったのは約4.6万人(前年4.8万人)で、被相続人数は前年より5.1%減少し、課税割合は4.7%となっています。相続税の納税者である相続人数は約12万人です。課税価格は116,912億円、申告税額は14,750億円と、いずれも昨年分を下回っているものの、1人当たりの課税価格は25,409万円、申告税額は3,206万円と、昨年とほぼ同一の水準となっています。

また、相続財産額に占める種類別構成比を見ますと、平成4年に75.9%を占めていた土地が全体の59.1%と6割を切り、土地下落の影響が大きく反映しています。 また、現金・預貯金等は平成4年には7.4%に過ぎなかったものが15.6%を占め、増加傾向にあります。

課税価格の申告件数構成比では、1億円以下の割合は17.7%、1億円以上2億円以下は45.9%、2億円以上3億円以下は15.9%となり、3億円以下で全体の約8割を占め、大型相続案件が減少していることがわかります。

また、同じく同庁から公表されました相続税の調査事績(過少申告と認められるものを対象としたもの、今年6月迄の1年間)によりますと、11,405件中10,171件89.2%に申告漏れがあり、申告漏れ課税価格1件当たり3,685万円、申告漏れ税額840万円となっています。種類別の内訳では現金・預貯金が37.8%、有価証券20.1%、土地19.7%、特に土地は平成6年度の42.6%から大幅に低下しています。  

税務調査で新たな財産が発見された場合の取扱は以下のようになります。新たに発見された財産に対応する相続税につき、修正申告書の提出とその未納税額の追加納税。さらに、本来の納付期限から遅れた期間に応じた延滞税(前年11月末時点の公定歩合+4%、若しくは年14.6%)。また、過少申告加算税(10%、15%)や仮装・隠蔽など悪質な場合は重加算税(35%)が課されます。なお、無申告加算税は税額の15%です。脱税者にはこれら経済的罰則だけでなく、ケースによっては刑事告発され社会的な刑罰も科されることになります。

相続対策を講じる程財産はないというひとでも、遺産分割は家族の理解や協力が得られないと上手くいかないものですし、何もしないリスクがあることを知る必要があります。既に節税対策済みというひとも、社会経済や家族の環境変化に応じた見直しは必要であり、一回だけの一つだけの対策で用意万全というわけにはいかないのが現実なのです。 相続税申告は単なる事後処理ではありません。おきてしまった相続でも工夫次第で節税が可能です。減ったとはいえ相続財産の過半を占める不動産です。「相続対策は不動産対策」、「遺産分割は不動産分割」であることは変わりありません。 ポイントは遺産分割の工夫と土地相続税評価額の計算の工夫にあります。 






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