相続税の基礎知識

相続税はどのくらいかかるか

気になる相続税額は、いったいいくらぐらいになるのでしょうか。相続税の計算の仕組みについて見ていくことにしましょう。

  1. 目次
  2. 納付税額の計算の仕組み
  3. 相続税の税額に加算されるもの
  4. 相続税の税額から控除できるもの
  5. ケーススタディ

納付税額の計算の仕組み

STEP1 遺産総額の計算

遺産総額は、相続(遺贈を含む)及び相続時精算課税の適用を受けている人ごとに、被相続人から相続(遺贈を含む)したすべての財産を金銭で評価し、これを合計して求めます。なお、この時、非課税財産がある場合には、これを除きます。

非課税財産とは?

非課税財産とは以下のことを指します。

  1. 墓所、仏壇、祭具
  2. 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
  3. 心身障碍者扶養共済制度に基づき支給される給付金の受給権
  4. 生命保険金のうち 500万円×法定相続人数 まで
  5. 死亡退職金のうち 500万円×法定相続人数 まで

STEP2 正味の遺産額の計算

各人の遺産総額からその者が取得又は負担する被相続人の債務、葬式費用の額を差し引き、各人の正味の遺産額を算出します(赤字の場合は0となります)。

STEP3 課税価格の計算

各人の正味の遺産額に、相続開始前3年内に被相続人から取得した贈与財産がある場合にその財産の価額を加え、各人の課税価格を計算します。

(注)2024(令和6)年1月1日以降は相続開始7年以内に贈与された財産が対象。1~3年以内になされた生前贈与についてはその財産の価額の合計額が、4~7年前になされた生前贈与についてはその財産の価額の合計額から100万円を控除した価額

STEP4 相続税の総額の計算

各人の課税標準を合計し、その合計額から基礎控除額を控除した残額(課税遺産総額)を、法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定した場合における、各法定相続人の取得金額を算出し、これに対応する速算表の税率を乗じ計算した金額の合計額が、相続税の総額となります。

【基礎控除について】
3,000万円+600万円×法定相続人の数

※『法定相続人数」には相続放棄した人も含まれます。

妻と子供2人の場合

相続税の速算表
各相続人の課税遺産額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

たとえば、3,000万円に対する税額は、3,000万円×15%-50万円=400万円

STEP5 各相続人の税額の計算

相続税の総額を各相続人が実際に取得した財産の課税価格の比率であん分して、各相続人の税額を算出します。

STEP6 各相続人の納付税額の計算

各相続人の税額から控除や加算を行って、実際に納付する税額を算出します。

相続税の税額に加算されるもの

相続税額の2割加算

被相続人の1親等の血族(父母、子、代襲相続人となった孫)又は配偶者以外の者が財産を取得した場合には、各相続人等の税額の20%を乗じ計算された金額を加算します。

主な対象者は祖父母、曾祖父母、兄弟姉妹、姻族、既に子が存命の場合における孫養子(この孫は代襲相続人に該当しないため)、友人など

相続税の税額から控除できるもの

  1. 贈与税額控除
    相続開始の日前3年以内(2024(令和6)年1月1日以降は相続開始の日前7年以内)に、被相続人から贈与された財産は相続財産に加算されて、相続税の対象になりますが、すでに納付した贈与税額のうち、一定の金額が相続税額から控除されます。
  2. 配偶者の税額軽減
    下のa、bの算式で求められる金額のうち、少ない方の金額が税額から差し引かれます。
  1. 未成年者控除
    財産を取得した人が、法定相続人でかつ未成年者である場合には、その人が18歳に達するまでの年数(1年未満の端数があるときは1年)に10万円を乗じ計算した金額を税額から控除します。なお、既に控除された金額がある場合はその金額を控除した残額を控除します。
  2. 障害者控除
    財産を取得した人が、法定相続人でかつ日本国内に住所のある障害者であるときは、85歳に達するまでの年数(1年未満の端数があるときは1年)に10万円(特別障害者は20万円)を乗じ計算した金額を税額から控除します。なお、既に控除された金額がある場合はその金額を控除した残額を控除します。
  3. 相次相続控除
    被相続人の相続開始前10年以内にその被相続人が相続により財産を取得し、相続税を支払っているような場合には、同一財産について相続税が二重にかかることになるので、相続税の一部を控除してもらえることになっています。
  1. 在外財産に対する相続税控除
    外国にある財産を相続したような場合には、外国で支払った相続税は一定部分の金額が控除されます。
  1. 贈与税額控除(相続時精算課税)
    被相続人から贈与された相続時精算課税が適用される財産につき課せられた贈与税額がある場合には、その課せられた贈与税額を相続税額から控除し、控除しきれない金額がある場合には、還付を受けることができます。

養子には人数制限があります

養子も民法上の法定相続人ですから、その数が多ければ多いほど、基礎控除、生命保険金や死亡退職金の非課税限度、相続税の総額を計算する場合に有利となります。しかし、養子については、次のように「法定相続人の数」が制限されていますので注意しなければなりません。

  1. 被相続人に実子がある場合または被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合 1人
  2. 被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合 2人

なお、民法に規定する特別養子縁組による養子となった者、被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者、代襲相続人は実子とみなされます。

ケーススタディ

相続人の協議による場合の事例で実際に相続税の計算をしてみましょう!

前提:遺産分割協議より、妻は50%、長男は20%、長女次女はそれぞれ15%づつ取得することが決定した。

※本事例では、生命保険金、退職金の非課税部分は各相続人が取得する割合を使用しています。
実際の申告に当たっては、税理士にご相談されることをお勧めいたします。

これにより、被相続人が有していた本来財産1億7,100万円については、妻が8,550万円、長男が3,420万円、長女次女がそれぞれ2,565万円分を取得した。

生命保険料などのみなし財産5,500万円については、妻が2,750万円、長男が1,100万円、長女次女がそれぞれ825万円で取得し、これに係る非課税金額4,000万円について、妻は2,000万円、長男は800万円、長女次女はそれぞれ600万円とした。

被相続人が有していた債務や葬式費用3,000万円については、妻が1,500万円、長男が600万円、長女次女はそれぞれ450万円をそれぞれ負担した。

STEP1 遺産総額の計算

STEP2 正味の遺産額の計算

STEP3 課税遺産額の計算

本事例においては、生前贈与がないため、課税価格は1億5,600万円となります。

STEP4 課税遺産額の計算

STEP5 各相続人の税額の計算

STEP6 各相続人の納付税額の計算

相続税(総額)の早見表

(単位千円)

※1:遺産額は基礎控除前の金額である
2:子供はいずれも成人に達しているものとした。
3:配偶者は、法定相続分を相続するものとした。
4:配偶者の税額からは、配偶者の税額軽減額が控除されている。

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本コンテンツの内容は、2024年4月1日現在施行されている法令に基づき作成しました。
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