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不動産投資の最新動向

不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。

宮澤 大樹
野村の仲介+
資産コンサルティング部
1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。
その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
不動産投資のノウハウ・事例

不動産投資で法人化!メリットと注意点は?

2018年10月22日

節税のための法人設立といえば、富裕層だけの話だと思われるでしょうか。しかし、これから不動産投資を始める初心者でも、最初から法人化を検討したほうが良い時代になっています。不動産投資における法人化のメリットと注意点について、個人の場合と比較しながら解説します。



法人実効税率が30%を切る時代に

法人減税によって、不動産投資で法人を設立するメリットが高まっています。2016年度の税制改正で、法人税の基本税率が引き下げられ、法人住民税や事業税などを含めた法人実効税率は30%を切りました。


個人の所得税率は、所得が高い人ほど税率が高くなる超過累進税率です。課税所得が900万円を超えると約33%、4,000万円を超えると約45%にもなります(但し、195万円超の所得には、課税額に応じた控除があります)。

法人は課税所得が増えても、基本税率は変わりません。また、課税所得が800万円以下の中小法人の場合は、税率がさらに低くなります。



法人は、収支のコントロールや節税の工夫がしやすい

ここで、あらためて法人化のメリットを整理しておきましょう。

1.法人と個人の実効税率の格差を利用して節税する
法人税率は下がり、個人の所得税率は上がる傾向にあります。サラリーマンが個人のまま不動産投資をすると、課税所得が大きくなって税率が上がるため、思ったように手取り額が増えない可能性があります。

2.所得分散効果がある
家族を法人の役員にして賃料収入から報酬を支払うと、一人当たりの課税所得が小さくなり、個人所得税の税率が下がります。その結果、トータルの税額は低くなります。

ただし、安易に従業員を増やすと、社会保険料の負担が重くなるおそれがあるので注意が必要です。

法人に内部留保した上で、将来、役員に退職金を支払う形も有効です。退職金は、通常の所得と異なり、税務上で優遇されているため税負担を軽くすることができます。

3.短期に売却、出口を検討するなら法人が有利
不動産を売却したときに利益が出ると、譲渡税がかかります。個人の場合は、1月1日時点で所有期間が5年以内の場合の短期譲渡だと税率約39%(所得税30%+住民税9%)、同5年超の長期譲渡が約20%(所得税15%+住民税5%、別途復興特別所得税がかかります)と2倍近い差です。

法人の場合は長短の区分がなく、30%前後の税率となります。5年を超えて長期に保有するつもりなら、法人より個人のほうが有利になるといえます。

4.法人のほうが経費を幅広く計上できる
個人では、賃料収入で得た不動産所得と、不動産の売却で得る譲渡所得は、種類の異なる所得として別々に課税されます。そのため、売却損が出ても、不動産所得と損益通算することはできません。

一方、法人の場合は、損金を通算できます。たとえば、売却損が出たり、別の事業で大きな経費を使って赤字になってしまった場合でも、不動産所得の黒字と相殺することで、全体の課税所得を減らすことができます。

また、個人の生命保険料控除は年間で最大12万円までしか認められていませんが(一般生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料、各4万円以内)、法人にはこうした制限がなく、その一部、半額、場合によっては全額を経費に計上できる法人専用の生命保険の商品があります。

このように法人にすると、さまざまな経営上の工夫により、節税を図ることが可能になります。



購入する物件によっても分かれる、個人と法人の損得

一般的には、課税所得が900万~1,000万円以上から、法人化の検討をお勧めするケースが多く、サラリーマンの方であれば、税込み年収で1,400万~1,500万円程度が一つの目安です。しかし、課税所得が1,000万円以上だからといって、誰でも法人化のメリットがあるわけではありません。

表1では、年収1,500万円(課税所得1,000万円)のサラリーマンが、7,800万円のアパートを購入したときに、最終的な手取り金額が、法人と個人でどう変わるかを試算しています。

表1.法人より個人がトクなことも

購入者 課税所得:1,000万円
(税込年収約5,000万円、減価償却費266万円)
購入物件 7,800万円のアパート(木造、築3年)
(建物価格 約5,000万円、減価償却費266万円)
資金調達 フルローン(金利1.875%・3年固定、30年返済)
賃料収入 600万円(1室5万円×10室×12か月)
手取り額(税引き後キャッシュフロー) ・個人:150万円 ・法人:134万円



その結果、個人のほうが16万円も税引き後キャッシュフローが多かったのです。このケースのポイントは、物件の総額に占める建物割合が64%と高く、経費として計上できる減価償却費が大きかったことです。建物割合は、物件の構造や築年数、売主の金額設定などによって変わります。

さらに、個人に認められている「青色申告特別控除65万円」(※)の存在も大きかったといえます。法人税には同様の控除はありません。この2つによって、個人の不動産所得が大幅に圧縮され、税金が少なくなったために手取り額が増えたということです。

※青色申告特別控除は、経営する賃貸住宅が「5棟10室以上」の事業的規模の場合に65万円、それに満たない場合は10万円。

表1と同じ金額の投資物件で、建物割合が50%、部屋数が10室未満で青色申告特別控除が10万円しか使えなかったとして試算すると、個人の手取り額は90万円、法人は120万円となり、法人のほうが有利になります。



法人化の成否を分けるその他のポイント

以上のように、法人化が有利になるかどうかは、「もともとの所得水準」に加えて、「購入する物件」によっても左右されます。

この他、法人化するか否かは、単に金額的なメリット・デメリットだけでは決められない面もあります。たとえば、会社の就業規定で兼業禁止になっているために法人設立ができない方は少なくありません。

法人化が難しい場合には、減価償却費を大きく計上できる物件を選べば、個人でも節税メリットはあります。また、保有期間中には減価償却費を大きく計上することでキャッシュフローを厚くすることができますが、売却時には、減価償却を進めた分、簿価が低くなるため譲渡所得税が多くかかります。購入時に売却する場合のシミュレートまでしておく必要があります。

不動産投資に関わる法人には「不動産管理法人」と「資産保有法人」があります。前者は、管理運営をする会社ですから、賃料収入はオーナー個人に入り、管理委託料を支払うことで経費を増やすしくみです。

「不動産管理法人」に一括借り上げをしてもらい、そこから転貸するサブリース方式の場合は、10%~15%程度の経費として計上することが可能です。売上規模も一定となり、その状態で黒字決算を3期以上続ければ、金融機関からのイメージも良くなります。その後、法人として物件を取得して、資産保有法人に転換するという方法もあります。

「資産保有法人」についても、法人を設立してから物件を購入するケース、個人で物件を購入した後に法人を設立して建物を譲渡するケースなど、さまざまなパターンがあります。こちらは事業承継、相続対策とも絡んでくるので、ここでは詳細は触れません。

いずれにしても、法人を作ること自体は難しくありませんが、「どのタイミングでどんな法人を作るか」、「どんな物件をどのように取得するか」などによって損得が分かれてきます。こういったスキームに慣れた専門家に相談することが重要です。

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