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第11回 不動産投資に最も効力を発揮する法人化!タイミングはいったい何で判定する?

執筆者:塩田 雅人2015年4月27日

不動産投資家なら必ず一度は考えたことがある「法人化」。第1回のコラムで、法人で不動産を取得するメリットとデメリットを解説しましたが、基本的には法人で取得した方が得だと言えます。法人化するとほとんどのケースで節税になるのは理解していても、法人化へ踏み切れていない方がたくさんいらっしゃいます。
「まだ1棟しか所有していない」「売上が少ない」、そんな理由からまだ法人化できないという声をよく耳にします。また最近「いつ法人化したらいいの?」という質問をよくされます。法人化をいずれしたいと思っている人は多いのですが、今すべきかどうかがよくわからないのですね。

では、どのようなタイミングで法人化するとよいのでしょう? 私も大家さんの集う会に参加したりしますが、よく耳にするのが「物件○棟、○室以上」「賃料1,000万円以上」「利益○万円以上」などです。これらすべてに共通しているのは、「規模が大きくなったら」ということでしょう。確かに、規模が小さいと法人化しても損をする可能性があります。そんな数字の面から見た場合、どのような判断基準が正しいのか検証していきたいと思います。

物件○棟以上、○室以上で法人化する?

これは言うまでもありませんが、判断基準として正しくありません。1棟と言っても、規模も違えば、構造も違いますし、融資の状況も異なります。物件数などで判断することは難しいでしょう。
ただし、ひとつ言えることは、区分所有1室で法人化する必要はないでしょう。法人化する際に重要なことは、「利益が出ること」です。利益が出ないのであれば、法人化しても、節税になりません。区分所有の場合、利益が出ても大きくないと思いますので、法人化してもそれほどメリットは得られません。もちろん、賃料が非常に高い物件で利益がたくさん出るというのであれば、話は別ですが。

賃料1,000万円以上で法人化する?

この基準はよく耳にします。なんとなく規模が大きいかどうかの判断基準が、「賃料1,000万円(年間)」というラインなのでしょう。しかしこれも、正しいとは言えません。
同じ賃料1,000万円でも、エレベーターがあるかないか、礼金が取れるかどうか、修繕費はどのくらいかかるのか、広告宣伝費は何ヵ月分必要か、駐車場を他から借りているか、金利はいくらかなどで、残るお金はまったく異なります。賃料1,000万円で経費が全然かからない物件であれば、利益がたくさん出るので法人化することで節税効果が得られますが、賃料1,000万円でも経費がかかってしまい利益が出なければ、法人化しても節税効果は得られないでしょう。

利益○万円で法人化する?

さて、それでは利益がたくさん出る物件(例えば利益300万円)であれば、法人化するタイミングとしては正しいのでしょうか。
これも一概に「YES」とは言えません。なぜなら、利益が出ないと法人化するメリットが得られないのですが、その利益が今後どれくらい続くのかがポイントだからです。つまり、「継続的」に利益が見込めるかどうか」が重要だということです。

今年は利益が300万円出たが、これは一時的な収入(例えば保険金や物件の売却益)であり、今後は継続的に利益が出ない場合、これは法人化する必要はありません。
また反対に、今年は利益が出ていないからと言って法人化する必要がないとも言えません。よくあるケースとしては、減価償却費について、決算書の金額をそのまま当てはめて計算してしまうケースです。決算書上の減価償却費はあくまでも「税法上の仮定」に基づいて計算した金額ですので、それをそのまま投資判断材料に当てはめてしまっては、売却のタイミングや法人化のタイミングなどを見誤ってしまいます。

例えば、築古木造の物件を購入すると、4年で減価償却費を計上することになります。そうすると4年目までは利益が出ない(4年間は減価償却費が大きいため)ですが、5年目から利益が出てきます。これをそのまま当てはめて、法人化のタイミングを考えると、「4年目までは利益が出ないから法人化する必要がない。しかし、5年目で利益が出るのでそのときに法人化するべき」という判断になるかと思います。
しかし、これは正しくありません。5年目になると建物価額が0円になり、法人へ売却する際には多額の利益が出てしまうので、譲渡税を支払わないといけなくなるからです。

では、どう判断するかですが、減価償却を借入期間で按分してください。例えば、20年の借入期間であれば、「建物金額÷20」を1年の減価償却費とみなして利益が出ているかどうかを見てください。それで利益が出ていれば、その物件は継続的に利益が出る物件だといえます。税務上、今は利益が出ていなくてもいずれ利益が出てくるのです。
また、そういった物件は減価償却費がどんどん進んでいきますので、法人化する際には建物価額が下がり、売却益が発生し、譲渡税が高くなってきます。ですので、タイミングとしては早めの法人化をおすすめします。

まとめると、法人化するべきかどうかの判断基準としては、物件数や売上高ではなく、「利益が継続的に出ているかどうか」です。また、法人化すべき物件であれば、タイミングとしては早ければ早い方がいいでしょう。「減価償却費がなくなるのを待って」と考えていたら、法人化する際にたくさんの売却益が発生し、譲渡税を支払わないといけなくなってしまいます。

次回は、法人化する際の留意点を説明します。利益が継続的に出る物件を所有している方は、ぜひご覧ください。

執筆者

塩田 雅人

塩田 雅人

不動産投資 専門税理士

不動産投資に関する税務をさまざまな角度(所得税・法人税・消費税・相続税など)から検討し、トータルでサポートを行う。個人所有物件の法人化や消費税の還付に精通。銀行との良好な関係を築き、顧問先の借り換え提案や金利交渉に力を発揮する。

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