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プロに聞く!不動産投資コラム 大家さん税理士が指南! 不動産投資専門税理士 塩田 雅人氏(しおた まさと)

第10回 本当は危険な長期ローン!戦略的な不動産投資に欠かせないローンの組み方

2015年03月27日

不動産投資に欠かせないものが「融資」です。不動産の魅力や価格が同じでも借入条件によって投資の成否を分けると言っても過言ではありません。金利が1%違うと、手元に残るお金も百万円単位で変わってきます。いかに低金利で借りるかは重要な投資手法の一つと言えるでしょう。

金利については、低い方がよいのは言うまでもありません。しかし、借入条件にはもう一つ重要な要素があります。それが「借入期間」です。私は毎年たくさんの不動産投資家さんとお会いするのですが、皆さん一様に「借入期間は長い方がいい」と口にされます。果たして本当にそうなのでしょうか。

借入期間の違いが与えるキャッシュフローへの影響

借入金額1億円、借入期間20年、金利2%の場合、1年あたりの元利金の支払額は607万円となります。これを、借入期間25年に延ばした場合、1年あたりの元利金の支払額は508万円となります。
一方、借入期間は20年のままで、金利を2%から1%へ低くした場合、1年あたりの元利金の支払額は551万円となります。つまり、借入期間が5年長くなると約100万円、金利が1%低くなると約50万円のキャッシュフローが改善されます。
こう考えると、多少金利が高くても借入期間が長ければキャッシュフローが改善されるので、そちらの方が条件としてよいという判断になるかもしれません。

キャッシュフローを分析する

一言にキャッシュフローといっても、内容が重要です。借入に関しては、そのキャッシュアウトが「元本返済」なのか「支払利息」なのかということです。先ほどの、2例で10年後を比較しましょう。

パターン1(低金利):借入金額1億円、借入期間20年、金利1%
パターン2(長期間):借入金額1億円、借入期間25年、金利2%

(1)パターン1
(低金利)
(2)パターン2
(長期間)
(1)-(2)
A.10年間の元利金合計 5,518万円 5,086万円 432万円
B.10年後の残債 5,249万円 6,586万円 -1,337万円

表をご覧いただくと、パターン2の方が元利金の支払額は少ないため、10年間で432万円もキャッシュアウトが少なくなっています。ここだけに注目すると、パターン2の方が条件としてよいように思われます。
しかし、10年後の残債を比較してください。パターン1の方が1,337万円も少なくなっています。言い換えると、10年後に物件を売却した場合、手元に残るお金はパターン1の方が1,337万円も多いということになります。
つまり、物件保有時のキャッシュフローはパターン1の方が432万円多く、物件売却時のキャッシュフローはパターン2の方が1,337万円多いため、合計ではパターン2の方がよいということになります。

上記は物件を売却する場合を前提にしましたが、物件を売却しない場合はもっと単純です。元本返済額は1億円で共通ですので、支払利息が異なるだけです。借入期間が長く、金利の高い方がトータルで支払利息が多くなるのは言うまでもありません。

自分の投資スタイルに合った借入方が重要

上記で説明したとおり、トータルで考えると、借入期間が短くても金利が低い方が有利です。しかし、1年あたりのキャッシュアウトに耐えられなければ物件を売却する前に破産してしまいます。ですので、トータルでは損していることは分かっていながら、金利が多少上がっても借入期間を延ばすという選択肢は合理的と言えます。

ただ、みんながみんな借入期間は長い方がよいかというと、そうではありません。例えば、サラリーマンで毎年のキャッシュフローとしては困っておらず、今後の不動産購入は考えていない方であれば、購入物件からのキャッシュフローは当分不要。借入期間は短くてもトータルでのキャッシュフローを重視するべきでしょう。
一方、これから何棟も購入していきたい方や、物件から得られるキャッシュフローを別に運用していきたい方であれば、トータルのキャッシュフローよりも、単年度のキャッシュフローを重視するべきでしょう。

借入時に検討しておきたいこと

結論としては、自分に合った借入方をするべきということになりますが、今置かれている状況を把握し、どのような方法が自分に最もメリットがあるのか検討してください。その際のポイントを下記にまとめてみました。

1.単年度のキャッシュフローの重要性
単年度のキャッシュフローを重視するのであれば、上記の通り借入期間を延ばし、単年度の元金返済額を少なくする必要があります。

2.売却まで見据えたトータルでのキャッシュフローの重要性
単年度のキャッシュフローの変動リスクに耐えうる範囲で、借入期間を短くしてでも金利を重視します。

3.固定金利か変動金利か(金利変動リスク)
金利が上がるか下がるかは誰にも分かりません。一つだけ確かなことは、金利を固定化したい場合は、属性が高くなってからの方がいい条件で固定化できるということです。

4.金融機関との付き合い(今後の融資への影響)
今後融資をまだまだ受けたい方は、今回の借入条件だけに固執してしまうと後で不利になることもあるかもしれません。

5.地域制(全国対応の金融機関は慎重に利用する)
地元以外の不動産を購入する際は、金融機関が絞られます。よって、地元の物件を購入する際、全国対応の金融機関は条件が良くてもあえて借りずに、地銀や信金、信組を使うというのも一つです。どこまで不動産投資を進めていきたいか目標を決めて、それに向かって戦略的に進めましょう。

6.担保評価方法の違い(収益還元か積算か)
収益還元で見てくれる金融機関は、積算価額が多少低くても融資をしてくれます。よって、積算が高い物件については、積算で担保評価を行う金融機関へ持っていき、収益還元で担保評価を行ってくれる金融機関は置いておくというのも一つです。

融資の状況は常に変化しています。先月まで審査が甘かった金融機関が今月から急に厳しくなったり、借入期間の考え方や担保評価の方法も変わります。そのため、いろいろなところで常に情報を更新しておくことが重要です。ただし、その情報を自分に置き換えたときに同じことが言えるかどうかよく考えるようにしましょう。
また、不動産投資のスタイルも人によって様々です。転売する人もいれば保有し続ける人もいます。また、購入し続けていく人もいれば、その物件で購入は終える人もいます。いろいろなスタイルがある中で、いろいろな情報が飛び交います。借入期間を重視するか、金利を重視するか。金融機関はどこを使えばいいのか、すべて、自分の目標を定めて、そこへたどり着くために戦略的に取り組んでいってもらえればと思います。

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