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第9回 不動産投資家なら知っておきたい確定申告のポイント

執筆者:塩田 雅人2015年2月24日

今年もついに確定申告が始まりました。1年に1回のことなので、何回やってもなかなか慣れないものだと思います。今回のコラムでは、不動産投資家の確定申告について、間違えやすいポイントをまとめていきたいと思います。

土地にかかる支払利息の取り扱い

借入をして不動産を購入した場合、毎月金融機関へ「元本」と「利息」を支払います。そのうち「元本」は、借りたお金を返済しているだけなので、経費に算入することができません。一方で「利息」は、お金を借りたというサービスに対する対価の支払いになるので、経費に算入することができます。しかし、利息でも土地の取得にかかる部分については、一部取り扱いが異なります。

所得税の計算の流れですが、不動産から得られた収入から経費を差し引いて、不動産所得を算定します。この不動産所得と給与所得などを合算(損益通算)して、税率を掛けていくことになります。つまり、不動産所得が500万円で、給与所得が600万円であれば、合計の所得1100万円(1)となります。
しかし、不動産所得が赤字の場合、注意が必要です。単純に合算するだけではいけないのです。
土地にかかる支払利息はこの合算(損益通算)の対象となりません。例えば、不動産所得がマイナス100万円(内、土地にかかる支払利息が50万円)で、給与所得が600万円の場合、合計所得は550万円(2)となるのです。

(1) 500万円(不動産所得)+600万円(給与所得)=1100万円
(2) ▲100万円(不動産所得)+600万円(給与所得)+50万円(土地にかかる利息)=550万円

給与所得が高い方の場合、節税対策として、赤字になりやすい物件を購入して不動産所得をマイナスにするという方が多いので、この計算に該当する方が多いと思われます。
不動産所得がマイナスの場合、土地にかかる支払利息は、後で所得に加えないといけないので覚えておいてください。

生命保険料控除

生命保険料控除は、ご存じのとおり一定の生命保険料を支払っていれば、その一部または全額を所得から引いてくれるというものです。この保険料ですが、契約者がご自身でなければいけないと思われがちですが、必ずしもそうではありません。生命保険料控除の対象となるかどうかは、以下で判断します。

・保険金等の受取人のすべてが、保険料等の支払者又は配偶者その他の親族

例えば、B(妻)が保険の契約者で、受取人がA(夫)だった場合でも、A(夫)が保険料等を支払っていることを明らかにできれば、A(夫)の生命保険料控除の対象となります。B(妻)名義の保険だからといって、生命保険料控除の対象にならないわけでありませんので、一度ご確認ください。

医療費控除の対象

医療費控除は、生命保険料控除などと一緒で所得控除の一種になります。実際に支払った医療費から10万円を差し引いて算定します(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額の5%を差し引きます)。
医療費控除に該当するかどうかですが、まず自己の医療費だけでなく、生計を一にする配偶者やそのほかの親族のために支払った医療費も対象になります。

歯の矯正は、子供の成長を阻害しないようにするために行う場合には対象となりますが、容貌を美化するための費用は対象になりません。
また、治療費だけでなく通院費も対象になります。小さいお子さんの通院に付添人が必要な場合は、付添人の通院費も対象になります。ただし、自家用車で通院した時のガソリン代や駐車場代は対象になりません。タクシーで通院した場合も対象となりません。ですが、出産など緊急時などの場合には、タクシー代も対象になります。
入院時の寝間着や洗面具などの購入費用は対象になりません。入院時の食事代は対象になりますが、外食する場合などは対象になりません。

上記のように、どの費用が対象になるかならないかは、よく調べて申告するようにしてください。

青色事業専従者給与と配偶者控除

青色事業専従者給与というのは、親族へのお給料です。不動産所得の計算をする際に経費とすることができるので、所得の高い方から低い方へ所得を分散することで、節税を図ることができます。

例えば、税率が40%のAさんと10%のBさん(Aさんの配偶者)がいた場合、AさんからBさんへ30万円のお給料を支払うと、30万円×(40%-10%)=9万円の節税になります。そのため、この青色事業専従者給与という制度を利用する方は多いのですが、その他に考えなくてはいけないことがあります。その一つが「配偶者控除」です。
この青色事業専従者給与を支払うと、今までAさんが受けていた配偶者控除が受けられなくなります。結果的にBさんへお給料を支払わない方がよかったというケースがあります。下図では、左でお給料を30万円支払い、不動産所得が30万円少なくなっているのですが、一方で配偶者控除38万円がなくなってしまい、結果的にトータルで考えると節税になっていないことになります。

お給料を支払って、節税となるかどうかは、この他にも社会保険料や年金、各種手当なども一緒に検討する必要がありますので、一つの要素だけで検討しないようにご注意ください。

生計を一にする親族への支払利息や家賃

親からお金を借りて不動産投資をされている方もいらっしゃるでしょう。その場合、親に対してお金を返していくわけですが、その際利息も払っていることがあります。
利息を払うこと自体は特に問題はありませんが、税制上はこれを経費として認めてもらえません。また、利息を受け取った側も収入に含める必要はありません。つまり、親子間で利息の支払や受取はなかったものとみなされるわけです。

地代家賃も同じことが言えます。親が所有する家に暮らし、その家賃を経費計上したいという方がいますが、生計を一にする親族へ支払う家賃は経費に計上できませんのでご注意ください。ただし、生計を一にしていない場合は経費算入が認められます。

まとめ

確定申告は、税務署へ提出して受付印を押してもらったら「通った」(=指摘はなかった)ものと考えがちですが、実際はそうではありません。数年後に税務調査の対象になれば、その時に過去の申告までチェックされます。知らなかったでは許されない世界なので、しっかりと勉強して、誤りのない申告を心がけましょう。
また、節税対策については、一つの側面だけ見ているとかえって多くの税金を納めている可能性もあります。トータルで考えて節税になっているか確認するようにしましょう。

執筆者

塩田 雅人

塩田 雅人

不動産投資 専門税理士

不動産投資に関する税務をさまざまな角度(所得税・法人税・消費税・相続税など)から検討し、トータルでサポートを行う。個人所有物件の法人化や消費税の還付に精通。銀行との良好な関係を築き、顧問先の借り換え提案や金利交渉に力を発揮する。

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