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プロに聞く!不動産投資コラム 大家さん税理士が指南! 不動産投資専門税理士 塩田 雅人氏(しおた まさと)

第1回 不動産を法人で取得するメリットデメリット

2014年06月30日

こんにちは、今回からコラムを担当させていただく、不動産専門税理士の塩田です。

不動産投資で最も重要なこと、それは「安く買って、高く貸して、高く売る」ということでしょう。しかし、それと同じくらい重要なことは「節税対策」です。不動産投資で、儲かる物件を購入することができたら、あとは税金との戦いです。

第1回は、物件取得に際し、個人と法人のいずれのメリットが大きいのか、節税対策をからめてお話ししたいと思います。

不動産投資は取得の段階から計画的に

不動産投資では、様々な費用がかかります。例えば、管理費、修繕費、広告費、固定資産税、保険料などがそれにあたります。しかし、これらの費用よりも多額なのが「税金」です。それはそうですよね、利益の数十パーセントを支払わなくてはならないのですから。

私が所属する不動産投資専門の叶税理士事務所では、年間200件ほどの不動産投資家からのご相談をお受けします。相談内容は不動産所得の節税対策から不動産のシミュレーション、相続のお話まで多岐にわたります。その中でも特に多いのが、個人と法人の違いについてのご相談です。

ご存知の方も多いかもしれませんが、同じ物件を持っていても、個人所有の場合と法人所有の場合では残るお金が異なってきます。日本は、法人税率を下げ、個人の所得税率を上げる傾向にあり、この傾向は今後も続いていくことでしょう。これらを考慮すると、不動産投資においてもただなんとなく流れで「個人」で購入したということになると、後々数百万円単位で残るお金が変わってくる可能性もあります。

どんな事業でも計画的に行うことは大切ですが、特に不動産投資の場合は物件取得の段階から計画的に行っていくことが重要になります。

所得税率と法人税率

個人と法人の違いで、最もメジャーなのが「税率」です。個人は所得税率、法人は法人税率となりますが、どちらも利益に応じて上がっていく仕組みになっています。ただし上がり方は全然違います。

個人の税率(所得税率+住民税率)

課税所得金額税率控除額
0~195万円 15% 0円
195万円~330万円 20% 97,500円
330万円~695万円 30% 427,500円
695万円~900万円 33% 636,000円
900万円~1,800万円 43% 1,536,000円
1,800万円~ 50% 2,796,000円

法人の税率(法人税率+住民税率+事業税率)

利益税率
0~400万円 約22%
400万円~800万円 約23%
800万円~ 約36%

給与収入が700万円の人であれば、家族構成などにもよりますが、課税所得は400万円ほど。不動産所得はその400万円に上乗せということになります。

たとえば、不動産から得られる利益が300万円だったとすると、個人の場合、この300万円に対する税金は約90万円になります。
【理由】
すでに給与等で400万円の課税所得が発生しているため、不動産所得300万円は合算されて401万円~700万円の課税所得という考え方になります。
そのため、この不動産所得300万円には、400万1円~695万円の部分に30%、695万1円~700万円の部分に33%の税率が適用されます。

不動産所得に対する税金

法人の場合、この300万円に対する税金は73万円になります。
【理由】
法人だと個人の給与などは影響しませんので、この利益300万円に対する税率は約22%となります。よって、法人税等は300万円×22%=66万円。ただし、利益に無関係な税金が約7万円発生しますので、66万円+7万円=73万円となります。

このように、同じ不動産であっても税率が異なるために、個人で取得した場合と法人で取得した場合で残るお金が異なってくるということになります。

その他の違い

その他に、個人で不動産を取得した場合と法人で取得した場合でどのような違いが起きてくるのか見ていきましょう。

まず、「減価償却費」です。減価償却費とは、建物金額を徐々に減らしていく経費のことですが、複雑な計算式に基づいて算定され、個人と法人で大きく異なってきます。

個人は「強制償却」、法人は「任意償却」と呼ばれ、個人の場合、複雑な計算式に基づいて算定された減価償却費の額(以下、「減価償却費の枠」)は全額を経費に計上しなくてはなりません。それは赤字であっても同様です。

一方、法人の場合には、減価償却費の枠内であればいくらでも計上することができます。0円でも可能ですし、中途半端な金額でも計上することが可能です。たとえば、法人の場合は以下のようなことが可能になります。

減価償却費計上前の利益が200万円、減価償却費の枠が300万円の場合...

減価償却費を全く計上せずに税引前利益を200万円にすることができます。また、減価償却費を全額計上して、税引前利益を△100万円にすることもできます。さらに、黒字にしたいが税金をあまり払いたくない人にとっては、減価償却費を180万円計上して税引前利益を20万円にすることもできるんです。

つまり、法人であれば合法的に利益を調整することが可能になり、さらに不動産投資の生命線である「融資」に有利な決算書をつくることができます。

次に「役員報酬」についてです。法人で不動産を取得した場合、役員報酬という形で個人へ給与を支払うことができます。よくあるのが、ご夫婦で不動産経営をされている場合、所得の高い旦那さんではなく、専業主婦の奥さんへ法人から給与を支払うといった例です。そうすることで、トータルでの税金を抑えるということが可能になります。

実は、個人で不動産を取得した場合でも奥さんへ給与を支払うことができます。それは「青色事業専従者給与」などの制度を適用した場合です。しかし、青色事業専従者給与の場合、役員報酬とは違い様々な制約があります。たとえばパートなど他の収入があってはいけないという条件で、「専従」にしておかなくてはなりません。

役員報酬の場合、どこへ勤めていても不動産所有法人から給与として支払われることは法律的に問題ありませんので、とても使い勝手がいいのです。もちろん、本業の方で副業禁止などあればそちらに引っかかる可能性があるので、十分ご注意ください。

物件取得は個人が得か、法人が得か

これまでの内容を踏まえると、不動産を取得する場合、断然法人の方が有利です。もちろん、すべての場合とはいいません。そもそも利益が出ていない場合は、法人で取得しても意味がないでしょう。しかしほとんどの場合、法人の方が有利であることを覚えておいてください。

また、法人を立ち上げるとなるとハードルを高く感じられる方もいらっしゃいますが、実際は印鑑を作成して、司法書士さんへお任せすればよいので、手間や複雑さという意味でもそれほど個人と変わることはありません。

むしろ、法人は税務の面では優遇されています。上記以外にも、法人の場合は消費税還付が可能であったり、保険料の扱いが違う、共済関係への加入権利があるなど、メリットを挙げればきりがありません。

金融機関も「新設法人に対して融資をしない」なんて言う時代は過ぎました。すでに多くの金融機関が新設法人への融資を行っています。今、この記事をお読みいただいている方は、ぜひ法人設立にトライしてみてください。

次回は、物件をできるだけ高く売却するタイミングやポイントを、節税対策に絡めながら紹介したいと思います。

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本コラムは、塩田 雅人氏の経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません。
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