不動産投資の最新動向
2016/8/ 8

2016年上半期、投資用物件の価格・利回りの動向

都心部の表面利回りが5%を切る水準の一方で、全体的には利回り低下に歯止めがかかりつつあります。金融機関の融資姿勢もさらに積極的になる中で、今後の価格や利回りはどうなるかを検証しました(2ページ目)。

「価格は横ばい」の見方が半数を超え、「買い時感」も高い

今後の価格、利回りはどうなるか、投資物件の購入検討者の見方から紹介しましょう。図4は、不動産投資専門サイト「ノムコム・プロ」の会員を対象にした「意識調査」の結果です。

1年後の不動産価格が「上がる」か「下がる」かについて、2013年から2015年までは「上がる」という回答が最多で、50%を超えていました。しかし、今年(2016年)は「上がる」が約30%に減少、「横ばい」が51%超で最多となりました。

「価格上昇/利回り低下」の動きに歯止めがかかりつつある状況を、一般の投資家も敏感に嗅ぎつけているのかもしれません。こうした見方が、"買い時感"につながっているのでしょう(図5参照)。

都心物件の利回りどこまで下がるか?

金融機関の融資姿勢や金利動向次第で、物件によってはまだ値上がりするものもあるでしょう。実際、都心部では、表面利回りが3%を切るケースも出ています。

ただ、こうした例は、相続税対策のために富裕層がキャッシュで買う場合や、2~3年の短期間でキャピタルゲインを狙うインバウンド投資などが多いと思われます。借入を行いキャッシュフローによる安定的な収入を目的にした不動産投資では、やはり4%前後までが限界でしょう。

その意味では、表面利回り4%を切るほど価格が上昇するような相場の過熱は考えにくいのではないでしょうか。従来から言われている通り、オリンピック前まで、少なくとも今後2~3年は大きな波乱はないとみています。ただ、国際情勢や金融情勢次第ではあることは言うまでもありません。

「今」もしくは「間もなく」買い時だと考えている個人投資家が半数を超える以上、良い物件には必ず買い手は付くでしょう。表面利回りの推移から読み取れる状況や、図4の意識調査の主流派の見方のように、今後、価格が「横ばい」に近い状態になるとすれば、焦らず購入するチャンスでもあります。以上の点を踏まえて、賢い選択をしてください。

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ガイド:宮澤 大樹
(野村の仲介+ 資産コンサルティング部)

1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。

他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。