収入ダウンは定年前から始まる?副業投資のはじめ時とは?
「老後も豊かに暮らしたい」と誰しもが思うところですが、今どきは定年前からすでに収入ダウンが始まります。年金生活への不安も拭えません。時間的余裕のできる定年後・老後を楽しく過ごすためにも、現役時代の30~40代にこそ始めたいのが不動産投資です。その運用方法を解説します。
マイホームより不動産投資を優先すべき理由
マイホームと収益不動産、どちらもローンを組んで購入しますよね。多くの人は、あまり深く考えずにマイホーム購入を先に検討し始めるのではないでしょうか。
しかし、老後資金の準備に不動産投資を考えているなら、「マイホーム購入より先に不動産投資を始めたほうがよい」という考え方もあります。マイホームと不動産投資の関係は、次の4つに整理することができます。
1.マイホームは収益を生まない
民泊でもやらない限り、マイホームから収入を得ることはありません。住宅ローンは、働いた給料から返済していくことになります。もちろん、賃貸住まいと違って最終的に自分の「資産」になりますが、自分が住んでいる間は売却して現金化することはできません。老後資金として使うなら、家を売って別の住まいを探さなくてはならないわけです。
不動産投資を先に始めれば、現金の家賃収入を得ると同時に、資産作りにもなります。複数の収益不動産を持ち、充分なキャッシュフロー(手取り収入)を得てからマイホームを購入すれば、住宅ローンの支払いも、家賃収入で賄うことができるでしょう。
2.多額の住宅ローンがあると不動産投資ローンに悪影響がある場合も
少し前まで、マイホームを購入して多額の住宅ローンが残っていると、不動産投資ローンを借りにくくなるなど、マイナスに作用することがありました。最近は、そこまではっきりとした悪影響は少なくなりましたが、融資額や金利などの融資条件が厳しくなる可能性はゼロではありません。その結果、購入できる物件の選択肢が狭まることも考えられます。
3.住宅ローンは「超低金利+住宅ローン減税」で負担を抑え、投資余力を
現在は、住宅ローン金利が非常に低い上に、節税効果のある「住宅ローン減税」が拡充されています。マイホームを買って、こうした住宅ローンの恩恵を享受するという選択は間違ってはいません。ただし、その場合も、投資に向ける資金についても計算に入れて、マイホームの価格やローンの返済負担を抑え目にしておくべきでしょう。
身の丈に合わない高額なマイホームでの暮らしは、住宅ローンの返済負担だけでなく、維持費や生活に伴う消費支出も大きくなりがちです。投資に向けた資金を貯める余裕がなくなるケースもあります。
1億円近い高級一戸建てを購入した年収2,000万円の夫婦が、「貯金が200万円しかない」という話も聞いたことがあります。実は、このような"高年収貧乏"ともいえる例は珍しくないのです。
4.法人化すれば、自宅は買わずに借りたほうが得な場合も
借りると言っても、不動産投資を始めるに当たって資産管理法人を設立し(法人化)、その法人(会社)が借り上げた社宅に本人が住むのです(法人化のポイントや注意点については『ここに注意! 不動産投資の法人化で失敗しないコツ』もご覧ください)。
たとえば、利便性の高い場所で、家賃20~30万円の高級賃貸マンションを資産管理会社が借り上げます。法人のオーナーなら、これを社宅として実質5~10万円程度で借りることが可能です。差額の15~20万円は法人の経費(損金)として計上できるので、資産管理会社の不動産所得が圧縮されて節税になります。しかも、オーナー本人は、軽い負担でゆとりのある暮らしができるわけです。何も、不便な場所に無理をしてマイホームを持つ必要はありません。
以上のように、マイホーム優先の発想を転換することによって、定年後の生活に向けた様々なアプローチができるようになります。
キャッシュフロー運用先のキーワードは"非課税枠"
より豊かな老後を実現するには、不動産投資による収入をさらに有効活用するのが賢い選択です。副収入だからといって安易に使ってしまわず、次の投資に向けた自己資金や余裕資金としてストックするのです。キャッシュフローを最大限に活かす運用先としては、非課税枠が認められた制度を積極的に使うとよいかもしれません。
たとえば、サラリーマンが老後資金を貯める上で有効なのは、「掛け金を支払う時の所得税・住民税の軽減」「運用収益への非課税」「受取時の所得控除」という3段階の税制優遇がある「日本版401K(確定拠出年金)」です。掛け金は会社が負担しますが、運用商品の選択や商品内容の配分変更など、運用指示は自分で行う「自己責任」型の制度になっています。運用成績次第で受け取る年金は変動しますが、意欲があれば積極的に増やしていくことも可能です。
企業年金や退職金は、会社の経営状態によって左右されたり、倒産すると消滅したりするおそれがあるのに対して、日本版401Kは会社の存廃に影響されず、転職時に持ち運べるポータビリティがあります。「企業型」から「個人型」への転換もできるので、アーリーリタイアした場合でも、個人として税制優遇を受けながら運用を続けることができるのです。
また、株や投資信託に投資する場合は「NISA(少額投資非課税制度)」もあります。年間120万円まで、5年間にわたり配当や譲渡益などの非課税投資枠が設定されるものです。2018年1月からは、非課税期間が最長20年間と長い「積立NISA」もスタートします(ただし非課税投資枠は年間40万円とやや小さく、NISAとの選択制)。
不動産投資の果実=キャッシュフローを有利な運用商品に振り分けておけば、生活費を切り詰めて老後資金を絞り出す必要はありません。旅行や趣味・娯楽の費用も犠牲にしなくてすむでしょう。
「不動産投資か株式投資か」といった二者択一ではなく、不動産投資を軸にすることによって、他の金融商品を組み合わせた多様な資産運用の道が開けるといえます。豊かな定年後を実現するために、早めに検討を始めてみてはいかがでしょうか。
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1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。