事例に学ぶ/住宅ローンを使える賃貸併用住宅の利点
「不動産投資をしたいけど、自宅も欲しい。負担もできるだけ抑えたい」という人は少なくありません。それを30歳代で実践した主婦オーナーに、成功の秘訣とポイントを聞いてみました。
今回は、住宅ローンで賃貸併用住宅を建て、月々の返済負担ゼロを実現した岩崎美歩さんに、そのプロセスや注意点、アドバイスなどを伺いました。
岩崎美歩さん
会社員時代に株式投資を始め、まとまった金融資産ができた2003年頃から不動産投資をスタート。2008年頃に賃貸併用住宅のプロジェクトを開始。7年前に退職し、現在は専業主婦。43歳。
<岩崎さんの保有物件>
投資物件:区分マンション3戸、アパート、1棟マンションなどに投資。アパートはのちに売却。
賃貸併用住宅:土地:27坪(3,500万円)、建物:鉄骨造3階建て(建築費3,800万円)。賃貸住宅はワンルーム4戸(1階に3戸、2階に1戸)、自宅は2階一部と3階(2LDK、65m2)
住宅ローンで全額借り入れて取得、家賃収入が返済額を上回る
―――賃貸併用住宅を建てようと思ったきっかけはなんですか?
岩崎さん(以下、岩崎)/会社員時代の株式投資で、そこそこお金は貯まっていました。ただ、株だけではいつか失敗もするだろうし、そうしたら資産がなくなるかもしれないと考えていました。継続的にキャッシュフローを生み出す資産に持ちかえたいと思って、株で作った現金で区分マンションを複数買いました。
そのうち1戸は、埼玉県にある60m2のマンションで、会社員の女性に月7万円で貸していたのですが、当時、私たち夫婦は40m2のアパートに、9万円の家賃を払って住んでいたんです。なんだか損をしている気がして、よし、自宅を持とうと。
―――なるほど、投資から始めて自宅を持つという順番ですね。そのほうが借り入れも起こしやすい。
岩崎/ええ、住宅ローンは金利が低く、返済期間も長期ですから、資産形成にあたって一度は使っておくべき"カード"だと思っていました。ただ、株や不動産投資をしていた感覚からすると、資産を取得するのにキャッシュアウト(手元から現金が出ていく)するのは耐えられないんですね。だから賃貸併用住宅にしました。自宅部分が半分以上あれば住宅ローンを借りられますから。
―――いくら借りたのですか?
岩崎/土地建物合わせて、7,300万円のフルローンです。自宅部分を51%、賃貸部分を49%にしたので、全額住宅ローンで借りられました。たしか、変動金利1.5~1.6%くらいで、35年返済です。
―――よくフルローンが通りましたね。
岩崎/土地を仲介した不動産会社からも、「賃貸併用タイプでは頭金を1,000万円くらい入れないと金利も高くなるし、審査は通らないはず」と言われていましたが、自分で地元の地方銀行に打診したらあっさりOKが出たんです。その頃はまだ会社に在籍していて、主人と合計で1,400万円くらいの年収がありましたから、それで通ったんだと思います。
―――収支の状況は?
岩崎/住宅ローンの返済が月額22万円で、家賃収入が24万円でした。今は家賃が少し下がって22万円くらいになっていますが、金利も下がって返済が20万円くらいになったので、どちらにしても差し引き2万円残ります。固定資産税などで相殺されますけど。
―――プラスマイナスでゼロ、つまり負担なしで自宅を持てたわけですね。
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1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。