不動産投資の成否を握る!? 管理会社の見分け方
賃貸経営では、管理会社の良し悪しが収益にも直結します。信頼できるパートナーとしての管理会社は何をしてくれるのか、また選ぶ際のポイントを紹介します。
空室や滞納対策のノウハウ、
リフォームなどの提案力で差が出る
前ページの冒頭で紹介したエピソードのように、管理会社によって滞納率に違いが出るのはどうしてなのでしょうか。
それは「集金管理の業務内容の違い」が考えられます。
前オーナーの時に依頼していた管理会社Aでは、家賃の支払い期限が1日でも遅れるとすぐに電話をして、部屋まで家賃を取りに行っていました。うっかり支払いを忘れる入居者も多かったのですが、ほとんどの場合は滞納には至りませんでした。
一方、新オーナーが切り替えた管理会社Bは、家賃の支払い期限が過ぎて3~4日してから電話を入れて口頭で催促をし、それでも支払いがない場合には1~2週間たってから督促状を郵送する、という対応でした。その結果、ずるずると支払いが遅れて、1ヵ月以上の滞納につながるケースが増えてしまったのです。管理会社の対応により、入居者の質が良くも悪くも変わるという良い例でしょう。
現在は、「家賃保証会社」の利用を提案する管理会社が増えています。これは、前述のサブリース会社とは異なり、賃貸住宅の契約時に必要な賃借人の連帯保証人を代行する会社です。賃借人が家賃滞納などの家賃債務の債務不履行をした場合、賃借人に変わって家賃保証会社が代位弁済を賃貸人に行います。こうした提案があれば積極的に利用をすべきですが、上記のように管理会社の入居者への対応には、十分に目を向けるべきです。
入居者募集についても、管理会社によって対応が大きく違います。
たとえば、管理会社Cは、インターネットの募集広告への反響がなく空室状態が長引いていると、「家賃を下げないと決まらない」と値下げ交渉をしてくるだけで、他に打てる対策の提案は一切ありません。また、他社には物件情報を出さず、自社で仲介する入居者にしか紹介しない営業スタイルでした。
これに対して、別の管理会社Dに相談したところ、まず古くなったエントランス周りのリフォームで、物件の印象を良くしようという提案がありました。集合ポストを交換し、化粧ボードや照明で明るく演出し、植栽をあしらいました。リフォームといっても、1室の1~2ヵ月分の家賃程度の低コストでできる対策です。その結果、広告写真も改善し、現地を内見した女性客にすぐ決まったそうです。

賃貸経営の維持コストの一つとして、原状回復費もばかになりません。
以前は入居者の敷金で内装リフォームをするケースもありましたが、現在は、故意・過失以外の経年変化の劣化についてはオーナー負担となっているからです。そこで、その管理会社Dでは、入居者が入れ替わる度にクロスを張り替えるのではなく、クリーニングだけで新品同様になる"洗えるクロス"を提案。これにより、大幅にコスト削減となりました。
このように、入居者募集、集金管理、リフォームなどに関する管理会社のノウハウの有無が、賃貸経営の成否に大きく関わってくるのです。
具体的な業務内容をヒアリングし、
業務報告レポートをチェックする
では、どのようにして管理会社を選べばいいのでしょうか。通常は、投資物件の売買仲介をした不動産会社から紹介してもらえることが多いようです。何社か候補を挙げてもらい、その中からオーナーが自分に合った会社を選んで依頼します。
選択のポイントは、やはり各業務の具体的な内容です。受託管理戸数の多い大手の管理会社は豊富な実績を持っているのが一般的ですが、必ずしも会社の規模が大きければ良いとは限りません。たとえば、社員の在籍年数が短く、頻繁に担当替えが行われるような会社は、あまり中身の濃い対応は期待できない可能性もあります。
ガイドが紹介する管理会社の中で比較的オーナーの評判が良いのは、高級賃貸マンションの売買・賃貸仲介専門の不動産会社や、外資系ファンドの資産管理(プロパティマネジメント)部門などで経験を積んでから独立した人が興した管理会社です。最新のマーケット動向や入居者ニーズを的確につかみ、どうすればコストをかけずに集客効果を高められるか、退室を防げるか、といったノウハウを身に付けています。また、機動的に動いてくれるスタッフが多い傾向があります。
管理会社がどのような業務をしているかを確認するには、直接担当者に会って話を聞くのが一番です。入居者募集、空室対策、滞納時の対応、リフォームやリノベーションの提案などについて、詳しく聞いてみましょう。
また、きちんとした管理会社なら、契約オーナーに対して業務報告レポートを定期的に出しているのが普通です。その実例やサンプルを見せてもらい、実際にどんな対応をしているかを確認するのも有効です。
物件の良し悪しだけでなく、管理会社の実力によって、投資物件の経営状態が大きく変わることを覚えておきましょう。
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1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。