世界的に見ても特殊な市場となっている現在、今後の変則的な景気の動向を予測するのが難しくなってきています。以前から上がり過ぎたマンション価格はいずれ調整局面に入ると言われてきましたが、ここにきてデータの推移に以前とは違う傾向が出てきています。コロナ禍においても、ほぼ毎月前年を上回ってきた購入需要が2022年2月(※1)以降の統計では前年と比較して購入問合せ新規登録数が大幅に減少しています。(データ②参照)今まで購入需要が売却の問い合わせ件数を上回っていたことで起こった「売り手市場」という現象が反転し、「買い手市場」へシフトしつつありました。しかし2022年9月(※2)以降、今度は売却問合せ新規登録数が減少しはじめ(データ③参照)、市場全体が鈍化しつつあり、在庫件数への影響も出ているようです。
理由として考えられるのは、①不動産価格が上昇し過ぎて、ピークアウトしたこと、②世界情勢で円安に転じ、急激な円安による物価の上昇、③各金融機関の固定金利の引き上げなど様々な見方があります。また、2019年のコロナ以前から減少し続けていた物件の在庫件数が2022年1月時に約750件あった在庫が、2023年1月時には、約1040件と約300件も在庫量が増えました(データ①参照)。この変化は、データ②の購入問合せ新規登録数およびデータ③の売却問合せ新規登録数も連動しており、在庫が増えるということは、取引の件数が減少していることの裏返しであり、2023年の不動産市況は、まさに変革を迎える年になると思われます。今後の市場変化のリスク(価格下落)を考慮するならば、計画的な不動産の売却、資産の組み換えなど、この機会に進めるのが望ましいでしょう。