

不動産市場に新型コロナの影響が出はじめてからおおよそ2年あまり。感染拡大と収束を繰り返す中、実生活や経済への影響は続くものの、不動産市場への影響という意味ではだいぶ限定的になってきています。1回目の緊急事態宣言が出た2020年4月当初こそ経済への大きな打撃が懸念されましたが、各国の経済対策の甲斐もあり、世界的に株価は好調を維持し、それにともない日経平均も上昇傾向が続きました。日経平均株価の推移と連動する傾向がある首都圏の不動産価格も上昇を続け、とりわけマンション価格はバブル以降最高値を更新するなど、「コロナ禍」と言われる中でも不動産市場は活況が続きました。
コロナ以降もこの2年間不動産市場の好調が続いたのは、購入需要の増加と在庫件数の減少が主な要因となっています。さらなる金融緩和政策による超低金利状態が、コロナ禍での購入ニーズの変化による需要の増加を後押しし、高騰が続く不動産市場でも活況が続きました。それにともないマンションの在庫が枯渇し、さらに価格が上昇するというサイクルに入っていました。ところが、2021年夏以降、購入需要が前年を下回る月が多くなり、2022年4月以降一時的に増加したものの以前の活況から落ち着きを見せ始めています。市場の在庫件数も減少が止まり、前年と比較すると徐々に増加傾向に転じるなど今後の不動産価格の展望が読みづらい状況となってきています。
2021年後半以降、不動産市場の変化が見られる中、2022年に入り次々と世界経済に影響を与える事態が起こっています。日本同様、低金利政策を続けていたアメリカがついに利上げに踏み切ったことで株価が下落し、日経平均にも大きな影響が出ました。世界情勢の不安も続き、さらには急激な円安への変化など今後の世界経済、株価の動向を予測するのが難しい状況が続いています。日経平均の変化と、需要と供給のバランスは大きく不動産市場に影響しますが、その意味でこの2022年は一つの転換期となる見方が出てきています。在庫件数も増加傾向にあるとはいえ、現時点においてはまだ「在庫不足」であり、市場自体も好調ですが、今後大きな変化が出てくる可能性は考えられます。さらに、日本ではまだ利上げの政策に転換していないものの、金利自体は海外の利上げに引っ張られるようにわずかながら上がりつつあり、今後の動きが注目されています。市場の変化、金利の上昇は不動産価格の下落につながりかねないことを考えると、高値売却を目指すなら今が「売りどき」のラストチャンスと言えるのではないでしょうか。