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不動産コラム vol.92

■土地白書~土地に関する動向
先頃国土交通省より発表された「土地白書」から土地市場の最近の動きについて、「地価の個別化」という現状と「土地取引の動向」に関して、その特徴について分析してみたいと思います。  
平成15年度土地白書において、土地は、「うまく利用することによってのみ価値が生み出せるものとなってきている」ということを、企業も個人も認識しつつあり、日本の土地市場は実需中心の市場へと構造的に変化してきていると示しています。また、収益性や利便性の差や個別の地点のおかれた状況により地価の変動状況が異なるという「地価の個別化」の傾向がさらに強まっているとしています。  
例えば東京駅周辺の地価変動について見ると、バブル期(1987年)の地価変動率は、大手町、丸の内、八重洲、日本橋のいずれの地域も5%以上の上昇を示しています。その後のバブル崩壊期(1995年)の地価変動率は、先のいずれの地域も5%以上の下落を示しています。
ところが、直近(2003年)の地価変動率は、今までのように地域によりほぼ一律ではありません。例えば、丸の内については、5%以上の上昇を示しているところもあれば、2%以上5%未満の上昇のところもあります。大手町については、2%以上5%未満の上昇のところと0.1%以上2%未満の上昇のところがあります。一方八重洲については、0.1%以上2%未満の上昇のところもあれば、5%以上の下落のところもあります。また、日本橋については、横ばいのところと5%以上の下落のところがあります。このように一定範囲のエリアにおいて、地価の変動状況は、その個々の収益性や利便性をベースとした需要に対応した動きを見せており、いわゆる「地価の個別化」はますます進んでいくものと思われます。
 
次に、白書では、土地取引の動向について、法人と個人に分けて、「企業行動の変化」と「個人の土地需要」について以下のように解説しています。
「企業行動の変化」においては、近年の地価の下落により、企業は土地が資産として有利であるという意識が低下し、収益性を重視する方向への変化がみられるとしています。地価の下落により、企業はバランスシートの悪化を招き、資金調達が困難になります。このため、企業は、資本市場から直接資金の提供が受けやすくなるよう、不採算資産の売却を進めたり、土地購入に慎重になる傾向があります。しかし、一方で、地価の下落は、事業コストの削減や、より良い立地・条件での事業活動の実施が可能となるなど、企業にとってプラスに働く面があります。地価や賃料の下落により、取引の活発化やまちの新陳代謝が促進されることも期待されます。企業による土地の売却が思うように進んでいない状況がみられる一方で、収益性が高い土地を中心に、企業が利用するための土地を購入する動きもうかがえます。
「個人の土地需要」においては、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産である」と考える国民は、ここ10年で減少傾向にあるが、近年はほぼ一定割合で推移しているとしています。土地と他の資産との比較について、「収益性の面で現在最も優れている資産」を尋ねたところ、「わからない」を除くと「土地」が最も高く、「安全性の面で現在最も優れている資産」については、「土地」は「預貯金」に次いで高くなっています。土地の資産としての絶対的な有利性は失われたが、他の資産との比較では、有利だと考えている人がなお相当数存在することがうかがえます。
(資料:国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」H15年1月より)
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