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不動産コラム vol.77

オフィス市場・2003年問題の現状と2010年問題
東京23区のオフィスビル空室率の推移は(右図)、2001年末4.3% ⇒2002年末6.1%と急激な増加を示しています(IDSS調査)。また、「Aクラスビル」の空室率は、前年の4.3%から6.6%へとこの1年で大幅に増加しています。(Aクラスビルとは、IDSSの定義では、延床1万坪以上、基準階面積200坪以上で都心5区等にあるもの)
※森トラスト「23区の大規模オフィスビル供給量調査’03」
※生駒データサービスシステム「首都圏オフィスマーケット動向」
オフィスの需給関係においては、空室率が3~5%の間であれば、安定的な状態と言われており、空室率が5%を超えてく ると借り手市場ということになります。
2003年の大量供給を控えて、現時点で6%水準を越える空室率になったことは今後の更なる状況の悪化が予想されるところです。新規に竣工するビルの稼働率は満室稼動が予想されるものもあれば、誘致に時間がかかるビルもあるといわれていますが、優良テナントにとって、より立地の良い・高機能新築ビルへの移転ニーズが強いことは明らかで、競争力で劣る既存ビルが相対的に不利な立場にあることは否めません。
他の調査データでも、都心5区の空室率:2001年末4.0%⇒2002年末7.3%(三鬼商事)、 23区大規模ビルの空室率は2002年末で5.9%(オフィスビル総研)など、6%程度まで空室率が上昇している結果が相次いで発表されています。 「2003年に開業する大規模ビルは満室開業とは行かなくても、多少時間をかければ満室になるだろうが、テナントを取られる既存ビルが問題。2004年には空室率が10%を超える可能性もある」(みずほ証券石澤卓志氏・2/28日経産業)とする論評もあります。
ところで東京23区のオフィス面積はどれくらいあるのでしょうか?
■東京都調査による23区オフィスストック量の推移 ※課税資料による東京都調査(単位万m2
  75年 80年 85年 90年 95年 2000年 2001年
都心5区 1,865 2,454 2,882 3,645 4,582 5,122 5,203
周辺18区 653 870 1,042 1,456 2,455 2,884 2,903
23区合計 2,518 3,324 3,924 5,101 7,037 8,006 8,106

東京23区では、2001.1.1現在で約8,100万m2(ha)のオフィスビルストックがあると言われていて、特に都心5区に集中しています。(ちなみに山手線内側の面積は6,300ha) 一方、この2003年における23区での予想供給量は、大規模ビル(延床1万m2以上のもの)だけで225万m2との調査があり(図参照:森トラスト資料)、通常の年度の大規模ビル供給量である約100万m2に対して、2倍以上の供給が予定されています。
ビル需要が変化しないと仮定すると、23区全体で新たに100万m2のビルが供給された場合は空室率が1.2%増加、200万m2ならば2.4%の増加という計算になります。従来は需要が供給に追いついていたと考えられますが、今後の需要の伸びに対しては期待薄との声が強いようです。また、日産のゴーン社長による提起が発端となった「2010年問題」は団塊の世代の定年退職(2007年~2009年頃)という就業者減少問題ですが、「東京オフィス市場の2010年問題」(ニッセイ基礎研究所などが発表)は、不動産市場においても2010年までの10年間でオフィスワーカーが5%減少し、最悪のケースで370万m2の需要が市場から消えると警告するもので、大きな関心が寄せられています。
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