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不動産コラム vol.71

税制改正の注意点について
1.贈与税は新制度と現行制度の選択制です(両方生きています)。
今回改定された『相続時精算課税制度』は、親から子への資産移転を大幅な金額(2500万円)まで贈与税なしに可能とする画期的な制度の創設です。 ただ、ここで注目したいのは『相続税と贈与税を別々に課税する制度』ともいえる現行制度もそのまま生きているということです。今後はどちらかの制度を選ぶことになりますので、両制度のメリット・デメリットを整理して見ましょう。
■贈与税非課税枠の比較
  メリット デメリット
新制度
(一体化方式)
生前に多額の資産(2500万円)を無税で移転できるので、子にとっては大きい買い物が容易になる 非課税枠2500万円は相続時での基礎控除の先取りなので、相続税全体としての節税効果はない
旧制度 非課税枠110万円は贈与した年の取り切りなので毎年贈与により相続財産を減らすことで節税になる 非課税枠が小さいので、現時点での多額の資産移転には多額の贈与税を支払う必要がある
■住宅取得資金贈与の特例の比較
  メリット デメリット
新制度
(一体化方式)
非課税枠が3500万円と通常の贈与の場合より1000万円拡大。更に65歳以上という親の年齢制限もない 非課税枠3500万円は相続時での基礎控除の先取り的性格です。一体化方式によるこの住宅資金贈与特例は3年間の限定です。
旧制度 非課税枠550万円の特例(5分5乗方式)は3年間延長された。節税効果がある。ただし、3年間で廃止。 非課税枠の上限に加え、軽減税率適用上限が1500万円までと制限されている。ただし、相続税には影響しないメリットあり。
つまり、新旧の制度においての非課税の意味が若干異なっていて、現行制度では額は小さいけれど本物の非課税ですが、新制度では額は大きいけれど課税の繰り延べとしての非課税であるという点に注意が必要です。今後、両制度の特徴を理解して選択する必要があります。また、新制度は一旦選択すると相続時まで継続適用されることとなりますので、選択の際は充分検討が必要でしょう。
.相続税・贈与税の最高税率の引き下げ
最高税率が70%→50%へと引き下げられます。この改正の恩恵にあずかる相続財産は4億円超の場合ですからあまり関係ないようにも見えますが、実はこれに伴って1000万円単位の財産に対しても5%程度の引き下げが行われています。贈与税においても従来150万円以下の贈与に対して10%課税でしたが、来年から200万円までが10%課税となるなど、節税対策の幅が増えることになります。
.登録免許税の軽減
今回の目玉として不動産流通課税の軽減があります。今回の改正で、売買の移転登記が5%→2%へと本則が変更になり、さらに特例で3年間に限り1%とされます。しかし、実務面からいうと、従来土地については課税標準を1/3とする特例がありましたので、実質は1.66%→1%という変更です。逆に軽減措置のある一定の居住用家屋を除き、ビルなどの一般の建物においての、5%→1%は大きな変更と言えると思います(適用は4月から)。また、「中高層耐火建築物」の軽減特例(特定の建物の移転登記は税率を1/2にするというもの)については廃止されます。
.不動産取得税の軽減
住宅以外の建物にかかる不動産取得税の税率が、4%→3%へと軽減されます(適用は1月から)。土地の課税標準1/2とする特例も変化なしです。
 
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