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不動産コラム vol.70

来年度税制改正大綱 決定

与党3党の2003年税制改正大綱が決定されました。当面の課題として「デフレ不況の脱却」のため、企業の研究開発・投資減税や土地・証券関連減税などを拡充し、相続・贈与税の軽減など減税策を盛り込んでいます。また同時に将来の財政健全性を維持する立場から所得税の配偶者特別控除原則廃止など個人の負担増を中心とした増税路線が明確化されました。

法案の改正スケジュールですが与党大綱の決定を受けた政府は、来年1月に召集の通常国会に改正法案を提出審議後、3月末の成立の予定です。

業務に関連の高い項目のポイントを整理してみます。
まず土地流通税制ですが、市場活性化や土地の有効活用をめざし、不動産売買による所有権移転にかかる登録免許税の税率を5%から2%に下げたうえで、来年度から3年間は1%に軽減。不動産取得税の引き下げや、特別土地保有税の課税凍結も盛り込まれています。留意点としては土地の登記の課税標準が1/3に軽減されていた特例措置が平成15年3月で廃止になり、その上で登録免許税の税率自体を引き下げています。
主な流通課税の改正点
 
項 目
改正前
改正後
登録免許税
土地の課税標準1/3 H15.3まで 廃止


※現行税率
・売買による移転登記 5%
・相続による移転登記 0.6%
・所有権の保存登記 0.6%
・本則税率の引き下げ
※H15.4.1以後の登記について適用
・特例措置でH15.4.1よりH18.3.31まで更に引き下げ
・売買による移転登記 本則2%→1%
・相続による移転登記 本則0.4%→0.2%
・所有権の保存登記 本則0.4%→0.2%
・住宅用家屋の所有権の保存登記 軽減措置H15.3.31まで0.15% ・適用期限2年延長
・住宅用家屋の所有権の移転登記 軽減措置H15.3.31まで 0.3% ・規定整備の上適用期限2年延長
・住宅取得資金の貸付に係る抵当権設定登記の登録免許税の軽減措置0.1% ・適用期限2年延長
印紙税
・不動産譲渡契約書H15.3.31までの特例措置 ・適用期限2年延長
不動産取得税
・標準税率 現行4%、住宅3% ・標準税率 3%
事業所税
・宅地、宅地比準土地の課税標準を価格の1/2 H14.12.31まで ・宅地、宅地比準土地の取得   課税標準を価格の1/2にする特例措置 H15.1.1からH17.12.31まで
・事業所用家屋の新増設に係る事業所等の床面積に対して課税 ・H15.3.31をもって廃止
特別土地保有税
・一定の面積の保有・取得について課税 ・H15年度以降新たな課税なし

政策減税として転勤で引っ越した人が再び戻った場合、住宅ローン控除の再適用を認める改正も盛り込まれました。現在はローンを組んで住宅を購入後、家族全員で転居し、その後再入居してもローン控除は受けられません。これを改め再入居年以後の残りの期間が減税対象になります。(再入居年に当該住宅を賃貸していた場合には当該入居年の翌年以後の各適用年に適用)適用は平成15年4月1日以後に居住しなくなった場合に適用されます。

相続税・贈与税の見直しは新たな制度が創設されています。親から子への資産移転を促進し、住宅投資や消費を刺激する狙いから、相続・贈与の一体化の方式「相続時精算課税制度(仮称)」の創設が決まりました。65歳以上の親から20歳以上の子に生前贈与する場合、生前贈与の2500万円までを非課税とし、それを上回る贈与には一律20%で課税。その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計価額に基づく相続税額から既に支払った「贈与税」を控除することにより精算することになります。

相続時精算課税制度の主な要件
 
適用手続
本制度の選択を行おうとする受贈者(子)が最初の贈与があった翌年2月1日から 3月15日までに贈与税の申告書に選択の届け出を添付.
現行制度との選択制、受贈者の兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できる.
本制度選択後は相続時まで、継続適用.
対象財産
贈与財産の種類、金額、贈与回数には制限無し.
相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価.
適用開始日
H15.1.1以後の相続又は贈与から適用.
相続時清算課税制度のイメージ

また、住宅の購入を目的とする資金の贈与「住宅取得資金等に係る相続時精算制度(仮称)」は、平成17年12月31日までの時限措置として非課税枠がさらに1000万円上乗せされ3500万円まで引き上げられます。現行制度では550万円(H17.12.31をもって廃止)なので、大幅な拡充となります。この特例では贈与者は65歳未満の親でも適用が可で、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与により取得した住宅資金等について適用されます。対象家屋は新築又は築20年以内(耐火建築物25年以内)、床面積50㎡以上、増改築は100万円以上の工事費用等一定の要件があります。

相続税の基礎控除である「5000万円+1000万円x法定相続人数」の額は現行のままとなっています。相続税の最高税率70%から50%、相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税率も70%から50%へと引き下げ、税率区分も多少緩やかになります。むしろ相続税額の2割加算制度について孫養子が追加になったことのほうが影響は大きいと思われます。

相続対策として活用されている生命保険に関する権利の評価(現行の評価は、「払込保険料×70%―保険金×2%」)は廃止となり、原則としてこの契約に係る解約返戻金により評価することとなりますので注意が必要です。

 
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