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不動産コラム vol.61

既存住宅の「性能表示制度」がスタート

政府が進めているアクションプログラムの実施メニューの目玉として、既存住宅の性能表示制度が8月20日付で公布・施行されました。(「品確法」に基く制度として制定)

この制度の目的は、次の2点です。
(1) 売買取引での物件情報の共有化により、売買契約の透明化・円滑化を図り、既存住宅の流通や住みかえを促進する
(2) 既存住宅の居住者が住まいの傷み具合を適切に把握し、維持修繕やリフォーム の支援、住宅ストックの質の確保・向上を促進する

そして、この制度での性能表示事項は次の2点で構成されます。
(1) 現況検査に関すること
(2) 構造の安定性などの性能項目に関すること
新しい標章

特に今回の「既存住宅」を対象とする『性能表示』が、昨年制度化された「新築住宅」の『性能表示』と違う点は、主に目視による『現況検査』が主体となる事にあります。

現況検査は以下の内容の項目で構成されます。
(1) 部位等・事象別の判定(必須)-基礎・壁柱・屋根・床・天井・バルコニー・土台・設備など
(2) 総合判定(必須)-上記の内、構造躯体に関連するもの・雨水侵入に繋がるもの
(3) 特定現況検査(選択)-腐朽等及び蟻害についての詳細検査

・部位判定(1)で表示すべき項目それぞれについて、
足場等を組まず、歩行等の一般的な手段で移動できる範囲での目視による確認で、
a: 詳細調査又は補修を要する事象は認められない
b: 詳細調査又は補修を要する事象が認められる
を判定し、評価することとなっています。
※例えば基礎コンクリートでは、ひび割れ(a・b)欠損(a・b)鉄筋の露出(a・b)を判定する。
・総合判定(2)では特別な検査はせず、上記(1)の判定の結果を使って総合判定します。
・特定現況検査(3)は、「腐朽、菌糸・子実体」「シロアリの蟻道、被害」を判定します。

共同住宅の場合(分譲マンションを想定)は、特に専用部分に比べ共用部分の割合が高いため、本来は専用部分と共用部分をセットで評価書交付すべきですが、共用部分の調査には負担や時間もかかることから、
・過去の信頼できる検査結果を活用できるものとする
・維持管理に関する計画を踏まえた評価とする
制度となっています。
具体的には、『共用部分検査評価シートの有効期限』が設定されており、
・「適切な維持管理に関する計画がある場合」・・・5年
・「適切な維持管理に関する計画のない場合」・・・2年
を原則として、過去の評価シートを利用できることとなっています。  

一方、性能項目に関しては、新築性能表示項目と連動する制度となっていますが、新築での評価9項目の内、劣化・省エネルギー・音環境の3項目については対象外としています。ただ、この任意の性能表示については、新築性能表示の普及とリンクして普及していくものと思われますので、当面は、「現況検査」の方のゆくえに注目しておく必要があると考えられます。早速、三菱地所では、自社分譲物件の2年後検査時にこの性能評価書を取得して、管理組合に無償で提供するという措置を発表しています。

同制度は8月から、評価員講習会を実施中で、9月中旬には実質的にスタートします。

 
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