不動産コラム vol.60
東京都は都市づくりの動向把握や施策展開ために「東京都市白書2002」を発表しました。 今年版は第1部で「情報化の進展と都市づくり」として、情報化の進展にともない、企業中枢部門が都心へ集積する一方で、中枢機能以外は都心部以外に分散するという志向が見られること。また、情報化が進展するほど外部委託のウェイトが高くなる傾向があり、これを受注するビジネス支援企業は、23区内に立地する傾向が見られることなどの分析結果です。 また、情報化の進展がもたらす時間や場所にとらわれない情報交流によって、生活時間帯は多様化・加速する傾向にあることを指摘し、それに対応した都市づくりの方向性都市基盤整備の重要性について述べています。
ビジネス環境については新しい産業の立地誘導には、地域の個性や特性を活かしながら、賑 わいや魅力ある都市空間の形成を図ることが重要であるとしています。具体的には日本橋・八重洲などのオフィスは、大手町・有楽町等と比較して安い賃料にもかかわらず、空室率が高いが、老朽度はほぼ同じです。
また、業務用途の平均敷地面積も大手町・有楽町は日本橋・八重洲の約5倍との結果が出ています。今後小さい敷地を統合、街区再編を図り土地の有効・高度利用を進めることが 不可欠であるといえます。一方街区の小さい日本橋・八重洲地区と渋谷地区の比較からは、オフィス立地・業務機能の集積要因を、単に オフィスの規模や街区の創出だけではなく、集積を誘導する業種(渋谷のケースでは広告・デザイン関連)と地域の個性や特性(来街者は 学生が多い、教育文化施設が多い)をふまえる必要があるとしています。