不動産コラム　vol.59

今国会で成立した主な関連法案は以下の通りです。

成立日	法律名(略称)	主な内容	公布日	施行日
3／29	都市再生特別措置法	都市再生緊急整備地域の指定	4／5	6／1
5／22	土壌汚染対策法	土地所有者に汚染調査を義務付	5／29	翌2／29迄
6／12	マンション建替え法	建替組合設立、権利変換手法	6／19	12／19迄
7／3	首都圏整備法改正	工場･大学の新増設制限撤廃	7／12	7／12
7／5	建築基準法等改正	総合設計改正、集団規定改正、他	7／12	翌1／12迄
7／5	ハートビル法改正	特定建築物の範囲、利用円滑化	7／12	翌7／12迄

以前、不動産コラムvol.49「建築基準法改正」において特に"シックハウス対策"について取り上げましたが、今回は、それ以外の項目の内、特に重要な"集団規定の改正"について報告します。

今回「建築基準法」が改正されるのは、容積率・建ぺい率・敷地規模制限・日影規制等が対象となっていて、それぞれの選択肢の拡充を図るものです。(現行の基準については、野村不動産アーバンネット手帳の「用途地域内の形態規制」のページに一覧表が出ています)改正の目的は、商業業務地の高度利用・都心居住の促進・密集市街地の建替促進などとなっています。特に今回の法改正の有力な対象地域と思われる東京都においては、この法律改正に沿った「用途地域等に関する指定方針並びに指定基準（7月）」を既に策定しています。法律の施行日は来年1月ですのでそれまでに国の政令等が決定されますが、東京都では先んじて下記のような方針を発表しています。（主なものを掲載）

集団規定項目	対象用途地域	現行規制	改正内容
容積率	商業地域	最大1000%	1100、1200、1300%を追加
	1･2種中高層	最大300%	400、500%を追加
	1･2種住居、準住居	最大400%	500%を追加
	工業地域	最低200%	100%、150%を追加
容積率 (道路幅員による規定)	住居系地域	幅員×0.4	0.6指定(400、500%地域で適用可)
	商業系地域	幅員×0.6	0.8指定(500%以上地域で適用可)
建ぺい率	1･2種住居、準住居	60%のみ	50%、80%を追加
敷地面積規模	全用途地域	低層住居のみ	積極的に定める
道路斜線	住居系地域	勾配1.25	1.5指定(400、500%地域で適用可)
日影規制	第3種高度地域等	測定面4m	測定面の高さ：原則6.5m

これらが適用となるのは、一部地域に限定されると想定されますが、従来の枠組みを超えた法改正ということになり注目されます。東京都では、来年度中に用途地域見直し原案を作成し、平成１６年度の都市計画審議会付議を目指しています。

一方、工場・大学の既成市街地での新増設を規制していた「工場等制限法」が撤廃されるのも、今更という感じではありますが、時代の流れを反映しています。

また、「ハートビル法」は建築物のバリアフリー対応を促進する法律ですが、従来不特定多数のものが利用する建築物のみ対象だったものが、事務所・共同住宅など不特定でなくとも多数の者が利用する建物にも拡大する方向が示されています。