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不動産コラム vol.55

土地白書2002年版の公表 ~土地市場の構造的な変化~

毎年この時期に発表される「土地白書」は、正式には「土地の動向に関する年次報告」と言い、土地基本法に基いて作成される報告文書です。特に注目されているのは、
 (1)国民が『土地が預貯金や株式と比べて有利な資産と思うか』
 (2)企業が『土地建物に関して、今後所有が有利になるか賃借が有利になるか』
という土地所有意識の調査の動向で、この結果はいろいろな場面で使われています。

国民の土地に対する意識の変化については、

「有利と思う人」の割合は、平成6年調査62%に対し、平成12年調査34.2%と、昨年までほぼ一貫して下がりつづけましたが、今回13年調査では35.3%と下げ止まりを見せています。有利とは思わない人の割合も平成12年調査38.8%に対し今回13年調査では34.2%と大きく減少していて、有利不利の意識がほぼ同数となっています。


土地を有利な資産であると考える理由については、「融資の担保価値がある」と考える人が減って、「土地はいくら使っても物理的に滅失しないから」と考える人が大きく増えているのが特徴です。 また、土地・預貯金・株式・国債等で安全性の面で最も優れている資産を選んでもらう質問では、土地は33%(昨年33%)に対し、預貯金が28%(昨年40%)、分からないが25%(昨年13%)と、安全な資産に対しての不安な心理が表れています。

一方、企業の土地所有の有利性に関する意識では、

「所有が有利になる」と考える企業は平成5年調査で66.7%に対し、平成12年調査で39.3%、今回13年調査では36.8%と一貫して減少し、「賃借が有利」とする企業が48%にまで増加していて、この2年間で完全に賃借有利という流れが出来てしまっています。このことは、会計制度等の変更などの影響を受けて、企業の方が土地所有に対する有利性をますます感じなくなってきたことの表れと考えられます。


今後賃借が有利と考える理由については、「事業所の進出・撤退が柔軟に行える」とする企業が56%で、「初期投資が少なくてすむ」41%を大きく上回っていて、一般的に考える経済的な問題より、事業の自由度が優先されている結果となっています。また、現在所有する不動産の水準を過剰と考える企業が44%、今後の対応として不動産の売却を考える企業が46%(H14.2調査)に上っていて、売却の動きは今後も続くとしています。一方、「未利用地となっている理由」として、売却を検討したが売却できずが31%でトップ、利用計画はあるが時期がきていないが23%(H7年39%)と減少していて、活用するものはする・出来ないものは売却活動へという流れです。

なお、今回の白書にも表記されていますが、不動産投資の活性化のための市場整備の一貫として、「不動産の鑑定評価」の基準が7/3に改定されました。そのポイントは下記の5点です。不動産評価の今後の流れとしてチェックしておいてください。【施行は2003.1.1】

(1)鑑定評価法(収益還元法)の充実――DCF法を導入する
(2)広域的な市場分析の重視ムム類似不動産の需給動向等を広域的な観点から分析する
(3)詳細な調査の充実ムム建物の構造、土壌汚染等の環境、地下埋設物等の調査内容の充実
(4)試算価格の調整ムム鑑定評価の3手法の内、対象の特色に応じて重視する手法を判断する
(5)鑑定評価の説明性の向上ムム依頼者が内容を正確に理解できるよう、決定過程を明確化する

 

 
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