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不動産コラム vol.50

多様な「働き方」と男性の意識改革 ‐国民生活白書から-

先ごろ内閣府が「家族の暮らしと構造改革」と題した平成13年度版国民生活白書を発表し ました。今回は「家族」を切り口に国民のライフスタイルに関し分析しています。 一般に家族の機能には、1)生活の糧を得る機能 2)子どもを生み育てる機能 3)老親等の介護や扶養をする機能 4)休息・やすらぎを得る機能 の4つがあるといわれています。

少子高齢化の進展や就業構造の変化が著しい現在においては、その内容も大きく変化して いるとし、白書は次の3つ視点、1:家族の「働き方」、2:子育てや介護の機能、3:少子高齢化 とITの普及から検討をおこなっています。以下、概要です。

1: 高度成長期に定着した夫がサラリーマンとして外で働き、妻は専ら育児等の家庭内労働を行う、という夫婦の役割分担に変化。
2: サービス経済化、IT化の進展等による産業構造変化の中で、女性や高齢者等の就業インセ ンティブが上昇し、女性や高齢者にとっても働きやすい環境が求められている。 
3: 家庭内において妻によって担われてきた家事や育児も、夫の積極的な参加が必要。
4: そのためにも、フルタイム就業者の就労時間の短縮や柔軟化が求められる。
5: 社会経済の変化と共に個人の価値観が多様化し、結婚観や離婚感が変化した結果、未婚率や離婚率の上昇、また少子化・高齢化が進展により、育児や高齢者の介護・扶養など、従来の「家族」や「地域社会」の役割が機能不全に陥っている。
6: ITの活用は働き方や子育てといった暮らしの場面、家族の抱える諸問題を解決する有効な手段になり得る。
収入はサラリーマンの夫一人に大きく依存し、家庭内労働は専業主婦の妻一人で担う家計 は、「夫は失業しない」、「夫の賃金は年齢とともに上昇する」ことを前提として成立して きたといわれています。 80年代は40%近かった専業主婦の割合も、現状では結婚している女性の約四分の1に過ぎません。


このような前提を始めとし、経済の低迷の長期化や国民意識の変化など家族を取り巻く環境変化や暮らしの多様化は家族機能そのものを変質化せざるを得ず、「暮らしの改革」なくしては少子高齢化問題を解決できないと結論付けています。 ですから、特に男性の意識改革が求められることになります。

また、社会制度も現在の配偶者控除、 年金、健保など家族を単位とした制度から個人単位に転換する必要性も指摘されています。これには男性女性高齢者を問わず、 仕事と家庭を両立できるよう経済的な自立が求められます。

残念ながら白書は現状分析の域を出ず、具体的な政策提言までには至っていませんが、「自ら家族や生活のあり方を考える」(白書むすび)きっかけになればと、期待されています。
 
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