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不動産コラム vol.42
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与党の来年度税制改正大綱が決定しましたが、住宅土地税制の減税は見送りに。
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与党3党は14日、来年度税制改正大綱を例年どおり決定しましたが、国債発行30兆円以下という首相方針を受けて大幅減税措置は行われず、住宅土地関連の税制についての要望事項はほとんど退けられた形になりました。
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今回の改正検討にあたっての最大の目玉は、不動産取得税や登録免許税といった流通課税に抜本的にメスを入れることにより不動産の流動化にかかる負担を軽くするというものでした。流通課税というのは不動産取引の背後に経済的負担能力があるとの推定にたった税制であったわけですが、もともと課税根拠が不明確な税制で、廃止することにより投資需要を喚起する施策として多方面から要請のあった要望でした。しかし、今年の大綱では一部の適用を除いてほとんど不採用となっています。
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結果として、不動産に関連する改正で今回採用されたのは、以下の通りです。
(1)
登録免許税
のうち一定の条件を満たす業務商業用ビル(5階建て・床面積2,000m
2
以上)の所有権移転登記に係る税率を来年4月から2年間に限り、本則の5%から2.5%に引き下げる。
(2)
住宅ローン減税
(年末に住宅借入金残高を有する場合の所得税の控除)の適用対象となる増改築の範囲に、「耐震改修工事」を追加する。(平成14年4月1日以後に自己の居住の用に供する場合)
(3)
土地譲渡益課税
で、現在運用を停止している最高税率(所得住民税計39%)を正式に廃止する。<実質上の影響なし>
(4)
相続税
では、下記の2つのケースについて、
小規模宅地の評価の特例適用の停止
を条件として特例措置を講ずる。
1)
取引相場のない株式のうち、発行総数の1/3以下に相当する部分について一定要件を満たす場合、3億円を限度として、課税価格を10%減額する
2)
山林について、森林施業計画を継続した場合の課税価格を5%減額する
(5)
固定資産税
の情報公開
1)
縦覧帳簿を整備する。(自己の固定資産と他の固定資産評価額を比較できる)
2)
借地人・借家人が対象資産の固定資産税額を閲覧できる制度を作る。
(6)
来年の通常国会で成立予定の「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(仮称)」に伴う各種税制上の特例措置を創設する。
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その他には、細かい規定の中で適用期限が延長される項目がかなりありますが、条件を厳しくした上で延長するという項目がいくつか見られ、医療介護といった分野においても例外ではなくなってきています。
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毎年、大綱の最後には、検討事項としてその年不採用となった改正項目を含めて抜本的に見直すべきものについて努力目標が掲げられています。今回は、他の税目を抑えて第一番目に不動産取得税・登録免許税、事業所税、などの土地流通課税について、早期に抜本的見直しを行うことが取り上げられています。今回は財源の問題で見送られた要素が強い事柄なので、来年への期待は継続されるものと考えられます。特に、
登録免許税については、15年度の固定資産税の評価替えにあわせて、手数料化とすることの是非も含めて検討する
こととしています。
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なお、小泉首相は同日、政府税制調査会に対して、来年一月にも税制の抜本的改正作業に着手し、秋までに結論を出すよう指示をしました。来年度の改正は官邸主導で行うというメッセージの表れと受け止められています。
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