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nomu.com通信 vol.4
「わが国税制の現状と課題・21世紀に向けた国民の参加と選択」
  と題する「税制白書」:政府税制調査会の中期答申が公表されました。
税制調査会には2つの機関があります。1つは自民党税調、もう1つが政府税調です。 政府税制調査会は、毎年の税制改正答申のほかに3年に一度中期的に税制をどう考えるべきかの意見をまとめて公表しています。
過去の中期答申を振り返って整理してみます。
平成3年 平成元年に制定された土地基本法の趣旨に沿って税制のあり方が問われ、土地神話つぶしの税制改正提言がなされました。
平成6年 バブル崩壊を受けて、右肩上がりの社会構造からの脱却が問われ、従来の所得税に偏った税体系では困難との見解が示されました。
平成9年 日本企業の高コスト構造が指摘され法人税の引下げ、所得税や住民税の最高税率の引下げ等の必要性が提言されました。
今回の答申は、今後の税制のあり方を国民に問う、といった内容になっています。国民の1人1人が今後の税制論議に参加し、その上であるべき税制について選択していくことが重要であるとして、近年の税制の総括をする一方、消費税の引き上げなど厳しい選択を避けて通れないことの道筋を示していると言えるようです。
個々の税目については次のように言及されています。
・個人所得課税 基幹税としての役割上、これ以上の減税は行うべきでない。
課税最低限が高いのは好ましくないが税率構造は維持すべき。
(各所得控除の見直しを含め課税ベースの引下げの検討を)
租税特別措置は整理合理化が必要。
・法人課税 実効税率は国際水準並みで、これ以上の引下げ余地はない。
連結納税、会社分割税制の整備が必要。
・消費課税 少子高齢化の進展する社会においては消費課税は重要。
「福祉目的税化」については賛否両論。
・相続税 一部の資産家層への課税という位置付け⇒広範囲に課税する体系へ。
最高税率は所得税最高税率との格差が大きく引下げが必要。
課税最低限を見直す余地がある(地価水準が下がってきた)。
・贈与税 税率を引下げ、高齢世代から若年世代に資産移転しやすくする。
相続税についての最高税率の引下げ率は、所得税の最高税率50%が下げの限度と条件がついています。この以上の税率が適用されるのは法定相続による取得分が4億円超のケースですから、現実にはあまり一般には貢献しないものとなりそうです。逆に、その分課税ベースを拡大するという方向が打ち出されていますので、現状より増税方向になる可能性があります。所得の伸びが期待できない中、資産税に対するウェートは高くならざるを得ないと考えられます。
いずれにせよ、今回の中期答申は成長による税収増に多くを期待することはできないとして、国民みんなで納得して増税する為の出発点を示すことになりましたが、具体的な方向となると景気優先姿勢が鮮明な与党の前に、今年度税制改正論議では今回の提言が具体化されることにはなりにくいというのが一般的な見方のようです。

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